日々日記
いちらんふるいあたらしい


2007年06月20日(水) 夕暮れ時に

デジカメを手に大学をうろついて池のほとりに来たら
東屋で女子学生が一人で泣いてた。

わー、どうしたのー。と声をかけたくなったんだけど、
こんだけ面倒見のいい仲間がいっぱいいる大学にいて、
わざわざここにきて一人で泣くってことはそれなりの事情があるんだろうと
思って、そっとしとくことにした。

池は静かで美しかった。

「あ、写真とろう」と思い、
彼女からわずか2メートル足らずの場所でちょっぴりセンチメンタル気分で
水面にカメラを向けたら、なにやら水面がもにょもにょとさざ波をたてはじめた

何事っ?と腰を引きつつ覗いたら、あぷあぷと口を開けたり閉じたりしながら
無数の鯉がうようよと寄って来てて、思わず、わぁ!って言っちゃった。

写真、もちろんとったけど、
「エサー。エサよこせー。」「エサ喰わせろー」っていう彼らの怨念?が
すご過ぎて、ちょっとただごとでない写真になってた。

あとで見たら躍動感ちゅうか、なんちゅうか。
見てると鯉に吸い込まれそうなショットばかり。

この同じ空間で、同じときに、
静かにさめざめと泣く乙女と、かたやアグレッシブにエサをねだる鯉、
かたやおののきつつもしっかりシャッターチャンスを逃さない自分。

あまりにギャップのあるそれぞれの行動がおかしくておかしくて
でも乙女が泣いているから、声を出さずに肩をふるわせながらその場を去った。

(あなたを笑ったんじゃないからね、乙女。)

途中まですごくしっとりしたシチュエーションだったのにね。
どこからこんなことになったんだ?やっぱ鯉ぱくぱくのあたり?

だけどね、このね、ぜんぜん決まらないところが本当はいいんだ。
そういうところから、自分や誰かやその周囲の環境が織りなす日々の営みが
愛しいなぁと思えるから。


inu-chan