騎士ルドルフは、ドナウ河のほとりを歩いていました。 水きわに咲く水色の可憐な一輪の花を見つけ、 愛するベルタに贈ろうと崖をつたわっておりて行きました 花に手が届いた瞬間すべって急流ドナウ河に落ち 流され もがきながら花を高くかかげ 私を忘れないでと叫びながら飲み込まれてしまいました。
私を忘れないで
どうして忘れることができよう この胸に残された貴方の歯型が疼く この耳に残された貴方の言葉が響く
私を忘れないで
酔いと音と光のなかで 伝わるものは鼓動と熱だけ
私を忘れて 貴方を忘れる
残された切なさの残像だけが貴方を記する
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