あるところに一匹の犬がいました。 とても愛想が良くて みんなから愛されてすくすく育ちました。 いつも幸せそうな顔をしてご主人様に擦り寄ります。
他のあるところに一匹の猫がいました。 それはたいそうなお天気屋で 静かな場所を探しては日向ぼっこをするばかり。 ご主人様が呼んでも知らんふりばかり。
そんな犬と猫が知らない町の道端で突然出会いました。 猫はいつもどおり何知らぬ顔をして通り過ぎました。 犬はいつものように笑顔を浮かべてワンと挨拶をしました。 猫は少し戸惑いながらも、後ろから着いてくる犬に 興味を持つようになりました。 犬はワンと話しかけますが、猫は犬の言葉がわからないので ニャーと答えてみました。 すると犬は喜んでまた、ワンと話しかけます。 二匹はそのうちお互いの言葉ではなく野生のカンで理解し始めました。
素直な犬は理解して欲しい思いを伝えようと必死です。 猫は相変わらず気まぐれな態度で犬をあしらいます。
二匹の間に不思議な感情が起こり始めますが お互いにそれが何なのかわかりません。
すると突然、犬が消えてしまいました。 ご主人様に呼ばれた犬が自分の家へと帰ってしまったのです。 ひとりぼっちになった猫はなんだか寂しくなり 小さい声でニャーと鳴きました。 そしてすぐにあの不思議な感情が何だったのか猫にはわかりました。
猫は来た道を戻り、犬と出合った場所で待つことにしました。 さて猫はどれくらい犬を待つことができるのでしょうか。 そして犬はまた戻ってくるのでしょうか。
言葉の壁を越えられるのははぁとしかないのかもね。
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