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熱血青春日記(癒し系)
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2005年11月21日(月)
言語・思考心理学

 国語や英語の授業にも活かせないかなと思って、言語心理学と思考心理学の勉強を今やっています。臨床にはまったく関係ないんだけど、やりはじめると面白い。でも、中学レベルの授業には使えんなあ(笑)
 高校で、日東駒専ライン以上のレベルでは、Xバー派生理論が英語で使えるんだけど、こんなもん勉強するくらいなら5文型をしっかりやったほうがいいんじゃないかという気がして、結局のところ英語は5文型をメインに、ちょこっと統語解析をやって、国語はもう気合で(駄)という方向に落ち着きそうな予感。国語は論理で解答を求める方法を考えていたんだけど、結構外れる確率が高いし、複雑なので教えてる自分も時々わからなくなるのでやめました(笑)結局のところ真新しい指導法の開発にはいたらなかったのでした。


 英語の授業では5文型を教えるとき、時間があれば語列の意味の引き出し方を教えています。たとえば、
○、△、×
という三つの未知の単語があったとする。

○ → animateがedibleを食べる
△ → トム(人名;animate)
× → リンゴ(edible)

※ animate・・・生物
  edible・・・食べられるもの

だとすると、トム、食べる、リンゴ、という三つの単語が並ぶことになるので、ここから生成できる文意としては
「トムはリンゴを食べる」
しかないのでこれが正解。
「リンゴがトムを食べる」と解釈すると、リンゴはanimateではないなので、○という単語の条件に合わないことになってしまう。したがって「△○×」と並ぶのがこの言語の正しい文法である、という風に正解を導くことができる、というもの。
ただ、たとえば以下のような場合

○ → animateがanimateを追いかける
△ → トム(noun; animate)
× → ジェリー(noun; animate)

だとすると、可能な意味は
「トムがジェリーを追いかける」
「ジェリーがトムを追いかける」
の二つになる。(トムが坂道を転がるリンゴを追いかける、というような例外もありますけど笑)
つまり、動詞が何であるかによって、目的語の性質が変わるのだ。……難しいですな(笑)
要するにただ単語並べりゃいいってもんじゃないんだよ、ってことを言いたいだけなので、わからなくてもかまわないんですがね。こんなん知らなくても英語は話せる。
ただ、統語構造は少し話しておくべきかなとは思います。大げさな例をあげると

「黒い犬がグレーのネズミが黄色い蛇が白い猫がかわいいと感じたのを知っていると思った」

という文章。理解できますか?(^_^;)
これは複雑すぎますけども、たとえばこんな難しい文章が来た場合には、修飾要素をとりあえず無視して主語と述語に分解すればよろしい。
そうするとこうなります。

「黒い犬が思った」

主語と述語にまずは分解します。ふむ、黒い犬が何が思ったのだな。では何を思ったのかというと、同じように主語述語に分解する。

「グレーのネズミが知っている」「黄色い蛇が、白い猫がかわいいと感じたのを」

ということですな。ここまで分解できたら統語構造を変えて

「白い猫がかわいいと黄色の蛇が感じたのをグレーのネズミが知っていると黒い犬が思った」

とするとずいぶんわかりやすくなる。
中央埋め込み分を枝分かれ分に変換するとわかりやすいんですな。
英語はキチンと枝分かれ文になっている。だから

The black dog thinks that the gray mouse knows that the yellow snake felt that the white cat is pretty.

という英訳になる。だから読むときは階層にわけりゃいいんですな。外側の括弧から読んでいきます。

The black dog thinks 【that the gray mouse knows {that the yellow snake felt (that the white cat is pretty.)}】

難しいですな。
でも、「受験英語」のいいところ(そして悪い所)は多義文に悩まなくてもいいところですな。

John bought the book for Maki.

みたいな文章があったときには、学校では必ず
John → 名詞
bought the book for Maki → 動詞句
だから、
John (bought (the book) (for Maki))
「ジョンはマキのために本を買った」という訳になりますな。

ところが、実際には
John → 名詞
bought the book for Maki→ 動詞句
the book for Maki → 名詞句
だから、
John (bought (the book for Maki))
「ジョンはマキ向きの本を買った」とも取れるわけです。

たとえばあれだ。
「僕は彼とアイツを殴った」
みたいなやつ。
「僕と彼が、アイツを殴った」
「僕が、彼とアイツを殴った」
の二つの意味に取れますよね。
第二外国語を学習するときは面倒だから、接点数の少ないほうを正解にしてしまう。
つまり
 僕は(彼と)(アイツを)殴った
よりは
 僕は彼と(アイツを)殴った
とするほうがよりすんなり理解しやすいんですね。
実際、最初に文を見たときは後者だと思いますよね。
だから英語でも、必ず
「ジョンはマキのために本を買った」
という解釈を支持してしまう。なぜなら、「forは“〜のために”」と機械的に暗記させてしまうから。
まあ、こんな話を生徒にしたら混乱するのは目に見えてるから言わないけれども、こうして死んだ英語力を身につけていくのだなあと少々悲しい気分になってしまう。