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2005年12月04日(日) ■ |
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表彰 |
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日曜日ですね。12月に入ると札幌駅中心部なんざバカップルで溢れかえっておりまして、ドコモがなぞの携帯電話の宣伝をしておりまして、どこの店も年末商戦でやっきになっておりました。そんな中、札幌駅のいつもの場所でゆうさんは待っていましたが、別にこれからデートなわけじゃありません。スーツにコートを羽織って、今高校時代の友達に会ったら就職したって誤解されるな、なんて思いながら同僚を待っていたのです。実際、就職って言ってもいいかもしれない。見た目完全にリーマンだべや。今日も仕事ですよあたしゃ。
今日は年に2回ある全体講師研修会の日。北海道支社の職員が一同に会して研修を行うという、なんともまあ面倒くさ……意義のある集会です。 実はうちの会社も不況の波をモロに食らっておりまして、来年から経営形態が変わるそうで、だからって職員の皆さんは今までと対応が変わるということはなんらなく、これまで通り一職員として自覚を持って業務にあたってくださいと統括の演説を聞いたときはある種の絶望が我々を襲ったわけですが、今まで北海道は分社として独立していたのが、本社の直轄になるわけで、規模がでかくなるんだから給料上げろこのやろうと、職員全員が心の内で思っておったわけですが、まあ社名が変わろうが経営が変わろうが一介の非常勤講師に何も関係はないわけで。ただ、トップが替わるので、今回の研修はどうやらいつもとスタイルが違うらしい。とりあえず、今回は教育研究がないぞ、という話を上司から聞き、少々浮かれておりました。同僚と合流し、一路研修会の会場へ赴く。
トップが替わると、なるほど企業は変わるもんだ。研修スタイルが一新されて、今回はグループ研修なんてのがプログラムに入っている。まあめんどくさそうなにおいがしますな。 今回北海道地区本部長に就任した本社の方は以外と若く、いかにもエリートって感じです。話も簡潔でわかりやすい。すばらしい。前の統括なんざ90分も金の話してたもんな。
で、ビデオを見せられて、本部長の就任挨拶を聞くまでは大体毎回のことですが、ここからが違う。グループに分かれて普段の業務について各自研修せえとの指示。これ見よがしにワークシートまで配られて、俺らは生徒ですか状態。 仕方なく(笑)、各自研修会が始まったわけですが、なぜかうちの班は自分を除きほとんどの方が新人。自分の隣に座っていらした先生なんか、入社3日目だという。うちの事業所にも一人新人が回ってきたしな。うーむ、冬に向けて戦力の増強を図っているんだかなんだか知らないが、だからといって慌てて研修なぞしていかがなものか。
高みの見物を決め込もうにも仕方がないので、自分ともう一人ベテランの先生がばしばし意見を出し合って、ゆう先生が独壇場で教育論を教えるのをほかの先生が「へぇー」と聞いている状態。インフォームドコンセントとか、途中医療の話になりましたけど(駄)
で、研修会が終わり、元の座席に戻ってくる。後は何時間か睡眠タイムやーと思って、爪の横の剥がれかけた皮をいじくっていたら 「それでは、○○校のゆう先生お願いします」 とリーダーにいきなり名指しされる。 何のこっちゃと思いましたが、全社員が注目しているので誰にも訊けず、きっと話の流れから今のまとめを言えということなのだなと勝手に解釈して、マイクを握り締めて長々と演説する。拍手が起こって、「ありがとうございました」とすんなり次に進んだので、どうやら間違っていないらしい(駄)
その後休憩タイムに入りました。うちの事業所の職員が集まって、「いやあ、ゆう先生って研修の時は目立たないと気がすまないんですね」「ゆう先生会社からも一目置かれてますね」などと部下にいじられていると、教室長が飛んできて、君は何かやらかさないと気がすまないのだね、と笑われる。俺のせいちゃうがな。
休憩が終わると、次は営業成績の報告と、何かの表彰があるらしい。さわやかに売上達成目標を下回っている我が事業所には関係ないだろうと、今度こそささくれと格闘していたら、 「○○校のゆう先生、おめでとうございます」 とまたマイクで名指しされる。 今度は何、と近くの人に訊いたら、ゆう先生、表彰されるそうですよ、と何かのプリントを渡してくれる。見ると「指導効果の高い優良講師一覧」と書いてあり、そこにでっかく乗ってる僕の名前。うれしいというか、優良講師? なんだそれ? それよりささくれ痛てえよと思いながら、前に出ろというので出る。ほかにも何名か表彰される人がおり、前に横一列に並んで、隣の先生と「担当している生徒の成績上昇率が高いと表彰されるらしいですよ」とひそかに情報交換をしていると 「では、優良講師を代表して、ゆう先生、前へ」 と言われ、本部長の前にむりやり連れてこられる。赤点の神の異名を持ち、表彰されたことが無い人間としては、『偉い人の前に立つ = めっちゃ怒られる』という方程式が成り立っており、体のいたるところがやべえやべえと警告を発しておりました。挙動不審な講師リーダーを見て爆笑を抑える事業所の面々が見えました。あとでコロす。 賞状とかどう受け取るんだっけ、卒業式みたいだなとか思いながら賞状を受け取ると「では、何か一言」と本部長がマイクを渡してくる。すごくあせる。人前でしゃべるのは得意だけど、堅苦しいのは大嫌いなのだ。「えと、どんなにやんちゃ坊主でも、どんなに勉強できなくても、絶対こいつの夢叶えたるぞっていう気持ちが生徒を変えると思いますコノヤロー!」と一見あたりさわりのないことを言ってマイクをぶん投げると、本部長が「すばらしい!!」とめっちゃ硬く握手をしてくる。あかん、完全に顔覚えられた。
最後にもう一度総括でいろんな方が壇上で話をしておる。ささくれ取れたんで、やることねえなあ、同僚に消しゴムのカスぶつけたろかな(駄)とそわそわしていると、 「では、ゆう先生はどうお考えでしょうか」 とまたもや当てられる。なんですか。今日は全社を上げて僕をいじめる日ですか。研修って嘘だべ。どっきりカメラどこよゴルァ マイクが運ばれてくる間、演題にさっと目を通す。保護者とのコミュニケーション。ふむ。その話をすればいいんだな。 マイクを握ると無意味に自身ありげに立ち上がり、保護者が求めていることは何かと言いますと、実は生徒の安全なのです。成績が上がるのは二の次。どんな先生に教わっているのか、塾ではうまくやっているのかということが一番の気がかりなわけであって、その不安を解消するには我々が顔を見せて、こんな人間が生徒を教えておるとアピールすることが、教室の信頼を勝ち取る一番の近道でありまして、その後、生徒個別に保護者同意のもと、十分説明責任を果たした上で介入していくと、これを医療ではインフォームドコンセントといいまして、同意なき医療は医療に非ずとうんぬんと講釈を述べ立てる。 もう腹たったのでマイクのスイッチをわざわざ切るという超地味な反社会的行為をして司会にマイクを返し、はー。なまらしゃべったべやと、自画自賛して座ると、さすがにもう当たることは無く、無事研修会が終了する。
教室長が飛んできて、ゆう先生、本当におつかれさん。おかげさまで今回も楽しい研修会だったよ、と肩をばしばし叩いてくるんですが、アレか。前の統括から、研修会で困ったらゆうをイジれと引き継いどんのかゴルァと憤慨しておりますと、同僚が資料片手にやってきて、いやいや、さすが、わが社のリーダーですな、とその資料を手渡してくる。何やら、さっきの表彰の細かいデータらしい。自分の名前と、成績向上率だとか何だとかが書いてあります。 「先生、ここ見てくださいよ。すごいよ」 と同僚が指差すところを見ると、「対象者数」とある。要するに自分が教えている生徒の数ですな。延べ人数なので実際よりは多いんですが、びびった。ほかの表彰された先生方は最高で指導生徒数は15人。一方、僕は112人。生徒数112人て。 「ゆう先生、ぶっちぎりじゃないですか。社内で一人だけ三桁じゃないですか」 と同僚は爆笑する。確かに多いなとは思っていたが、そんなに生徒持ってたのか汗 そら脳の血管も切れますわ。ねえ、これ厚生労働省あたりに持っていってもいいかな。労災降りないかな。
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