詩のような 世界
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疲れた目をこすりながら
少女は地面に座り込んで
スカートに泥がつくのもかまわずに
待っていました
狼の群れを
銀の毛を揺らしながら
もうすぐやってくるというのに
笑いすらこみ上げてくる月の夜
間違ってるこんなこと
少女は舌打ちしたのだけど
立ち上がる気力すらなくて
どこからか聞こえる長い遠吠え
耳の奥から左胸へと落ちてくる
共鳴しそうになる口を慌てて塞いだ
金の巻き毛に結んだ細いリボン
そっとひっぱり取って投げた
まるで覚悟を決めるかのように
本当に欲しかったものは
生まれたばかりの雛を見守るような
優しい暖かさ
でも少女には
祈りを口に出すことが
あまりにも難しすぎたのです
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