詩のような 世界
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心ない通行人に空き缶を投げつけられ
「失せろ」と言われた薄汚い野良猫が
ビー玉のような目を左右に泳がせながら
みゃあと鳴き逃げていきました
その姿はいつかの僕に似ていて
僕はとっさにポケットからナイフを取り出し
・・・
・・・
後は覚えていません
道路にはさっきの通行人が転がっていて
左胸から血が溢れ出していました
アスファルトをどす黒い色に染めていく液体が
憎くて憎くて気が狂いそうでした
すぐに僕は近所を回りあの猫を探しましたが
猫は見つかりませんでした
僕は街中を探し歩きましたが
猫は見つかりませんでした
猫に伝えたかったのに
敵を討ったよ、と
撫でてあげたかったのに
もう大丈夫だよ
優しく守りながら言いたかった
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