詩のような 世界
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腰まで伸ばした銅色の髪の毛が 洗い場の排水溝に流れていく様を 彼女は目で追っていました
赤い小さな唇の端で小さく笑い 彼女のチャーム-ポイントであるフワフワの髪を 一本づつ抜き取っては捨て抜き取っては捨て 流れろ 流れちゃえ 呪文のように 彼女は繰り返すのです
シャワーを浴びると 白い肌を水滴が伝っていく 彼女は冷たい目でそれを見ながら 手の甲に歯を立てました 嫌い 嫌い 消えろ 消えちゃえ
そんな痛々しい姿さえ 誰の目にも「女神」として映るでしょう 輝くたおやかな長い髪は白い身体を包み込み 光を失った茶色い瞳は 飾られるべき芸術作品並に人を魅了してしまうから
女神の気持ちなど 誰も知らない 圧倒され盲目になった人々は 知る術を持たないのです
可愛そうな女神 永遠のオブジェ
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