詩のような 世界

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2002年07月23日(火) 1ミリ

ああ
やっぱり駄目だよ私
埋めることできない

本当はずっと物足りなさを感じてたんだ
髪の毛を2つに結っていた頃から
そう
君が旅立ってから
私も
旅立ったのだけど

もしも行き先が同じだったら
きっと違う結果が生まれてた
確信はなくても信じたい
君の目に映る景色は私にとって特別で
ボロボロの廃墟すらいとおしく思った

バス停で待つ私の顔は
呆れるほど幸せそうだったはずで
君は
走ってきた
遠くから

君はどこから来たんだろう
私の
知らない場所から来たんだろう

会えなくなるには
君の存在は大きくなりすぎていて
ウサギ頭をしたセーラー服の面影が消えても
学ラン姿の少年は生き続ける

いつまでもいつまでも

これはまるで悪夢
覚めることのない
だけど痛くなくて
時間が経つにつれて徐々に柔らかに
そして暖かな光で空洞を満たす

満たしているように感じさせる

優しくて切なくて残酷
過程は与えるくせに
出口に連れて行ってはくれない
君もそうだった
でも非難できない
私は君に救われていたから

相変わらず
私の胸の真ん中はスカスカで
君はそんな様子を見てほくそ笑んでいるのかな
それとも少しは同情してくれる?

幼かった私たちは
馬鹿みたいに不器用だったけれど
1番大切なものをちゃんと認識してた
揺るがされるほど大人ではなかった

あのままでいられるなんて考えてなかった
時間のせいじゃない
ただ1ミリにも満たないズレのせい
かつてこの空洞にあった大きな風船は
絶えず空気を入れられて
膨らんで膨らんで真っ赤になって
ある時
1ミリの針によって破裂しただけ

それも
音を立てずに


やがて風船カスさえ風化し
今の私が
ここにいる







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