詩のような 世界
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雨に濡れて幾本の線になった髪を 白い頬に張りつかせたまま わたしは徐々に石像になった
あなたはわたしの固くなった皮膚を 確かめるようにコツコツと叩いては 納得したように うなずく
どうして機械的なの あなたは どうして取り乱さないでいられるの わたしが息をしなくなっても あなたは雨水を飲み込むことをやめない
石像だって涙を流すのに それを「どうせ雨の雫だろう」と決めつけるなんて
責めたくてもわたしは口が利けない わずかに開いた口の中が どれだけ酸味の洪水となっても 静かに喉に流すだけ あなたは助けてもくれない
気づこうとしてもくれない
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