詩のような 世界
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電気を消して 部屋の中央に座る
青白く発光した無数の輪が 僕の身体にすぽんすぽん、と 次々にはまる
暖かいような 冷たいような 生温いような
手を伸ばしてみると ぼやけた影があった 誰なんだろう そこにいるのは?
優しい人だといいな 希望は実現への一歩 かどうかは知らないけれど 仮定してみよう
僕を愛してくれる影 守ってくれなくていいから どうか遠くへ行かないで 触れることができぬ距離でも
影だろうが肉体だろうが そんなことはちっぽけな問題だ なぜなら僕だって影みたいなものだから 躊躇わずに感じよう
名前なんて要らないんだ 形式に踊らされてぐるぐる回っても ねぇ、ねぇ、 僕が君を大切に思っていること たくさんの愛に たくさんの感謝と 涙声を
暖かい方の輪を 黒っぽい影に渡した 僕は影が受け取るのを見届けると そのまま部屋を後にした
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