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★短編小説7 - 2003年09月15日(月)






[愛に狂う]


それは、アイツの家に向かう途中。
その足で地を蹴って夜道を走る快感は、

ある種の快感とよく似ている。



アイツの事を考えている時間。
その時生まれた快感。
生きている中で、一番幸せな瞬間だと気付く。


きっとその、その快感に良く似ている。






バスケをしている瞬間に快感を感じる。
だけど、それとはまた別の快感が、俺の頭の中を駆け巡る。

きっとこんな痛みを覚えてしまったのは、アイツが原因している。



きっと桜木を好きになって、どんどんバカになっていってるんだと思う。
元々バカだって事ぐらい知ってる。
だけどそれ以上に、アイツに狂ってバカになっていく。



そんなことはどうでもいい。

桜木が笑顔を向けてくれる方法。
桜木が喜んでくれる方法。

桜木のために、精一杯考えて。


そうやって生きていく事が、どれだけ快感か。



結局出来ることはほんの少し。
そんなことは、バカな俺だってわかってる。

ヘンに空回り。
想像通りにいかない世界。

本当は後悔だらけの心。





だけど、桜木は笑ってくれる。

お前はホントに情けないと、そういいながら。

本当に嬉しそうに笑ってくれる。




それだけで、生きる喜びを感じる。












今日もまた、夜の街を走る。
いつもの愛車は自宅で待機。


なんだか今日もまた、走りたくてしょうがなかった。
きっと、桜木のことを考えて、いつもより時間をかけて、
アイツに会いに行きたかったんだと思う。



景色が変わる。
走るスピードは加速して、アイツの家に一直線。

頭ん中はアイツのことだらけ。



“愛に狂う”ってこういうことだと、
何故だかそんなことが頭に浮んだ。



前が見えない。
後ろも見えない。
横なんか見ちゃいない。

きっと、アイツ以外見えちゃいないんだ。
そうやって突っ走って。
だけど、そんな俺をアイツは、止めようとしないことを知っている。




だからいつまでも、アイツという海の中をさ迷っている。


溺れる魚。


アイツの海の中にいれば、溺れてしまう。

たとえ今までそんな事なかったとしても。
だけど、アイツの海の中で泳ぐ俺は、簡単に溺れてしまう。




いつかきっとアイツは俺を、そのうち殺してしまう。
窒息死しそうだ。


愛に溺れて。
前も見えず、後ろも見えず。

きっと俺はいつか、アイツの海の中で死んでしまうんじゃないかと思う。



そんな下らない事が、頭の中を駆け巡る。
月が俺を照らしながら、嘲笑っている様な気がする。



アイツというナイフで殺されてしまいそうだ。

また下らない事が頭を駆け巡る。


そんな下らない事すら快感。





走って。
走って。
走って。



息が出来ない。

何が原因なのか、分からない。


この速度のせいで、息が出来ないだけじゃない。
きっと愛に狂い過ぎて、呼吸もロクに出来ない。

そんな感じがする。




俺を照らす月は、相変わらず俺をバカにした様に笑う。


もうどうにでもなれ。

愛に狂って死ぬのも。


アイツの海の中で溺れ死んでも。


もうどうにでもなれ。


そう思う。




なんでもいい。


甘い痛みで死ねるのなら、なんだっていい。






アイツの家の明かりが見える。








***




スミマセン、流川さんのイメージを完璧に崩してしまいました…。
バカ過ぎる…。






...

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