2005年02月19日(土) |
◇『猿の惑星』の『猿』 |
映画『猿の惑星』(1968年版)を見たことがあるだろうか。 ある宇宙飛行士がたどり着いた惑星。 地球で言うところの『猿』が支配しており 地球で言うところの『人間』が動物以下の扱いを受けている。 檻に閉じ込められたり様々な恐怖を味わうが 最後は協力してくれる心優しき『猿』のおかげで脱出。
あの『猿』=『日本兵』だと言う事をご存知だろうか。
この原作を書いた人は第二次世界大戦で日本人の捕虜となった ピエール・ブウル。そこでの暮らしを小説化したものだ。 日本兵にはずいぶんとひどい目にあわされたらしい。 帰国してからも長い間心を病んでしまっていたとの事。 はじめに「戦場にかける橋」を書いた。 けれど「人」を題材にしてしまうと思うように描ききることが出来ない。 そこで『猿』と言う表現方法に変えての作品にしたと言うわけだ。
私は戦争が嫌いなので、戦争関係の映画はあまり見ていない。 「戦場にかける橋」も見た人のレビューなどは読んだが、映画は見ていない。 見た人のレビューの中で、原作者が日本の捕虜だった事を知っている人もいたが、 「当時の日本兵は捕虜に対して酷いことをしたと聞いているが この作品の中では日本兵が好意的に描かれている」と書いてあった。 やはり「日本兵」というくくりにしてしまうと書きたい事が 半減されたのだろう。そう思うと切なくなってくる。 そして人でないもので表現する方法を考え付いた(ここで猿を選んだのは 人の一番近いことと日本人への皮肉と両方なのかもしれない)。 『猿の惑星』の中の『猿』はとても野蛮だ。が、 日本兵の中に映画の中に出てくるような「ジーラ」と「コーネリアス」は いたのだろうか。それがとても気になるところだ。
戦争と言う狂気の中で、それでも理性を失わずに少しでも捕虜に心配れる 日本兵がいて欲しかったと思う。 今日のイラク兵捕虜への屈辱的行為などを見るとますますそういう思いが 強くなっていく。
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