TENSEI塵語

2001年09月29日(土) 長嶋監督退任劇

ウソだろぉ〜、こんなんでも辞めさせる気かよぉ〜、と、
昨日ラジオではじめて聞いたときはちょっと焦ったけれど、
きょうの新聞を読んだら、球団の意志でなく監督自身の意志らしいので、
このあたりでそろそろひと休みさせてあげたい、という思いにもなった。
とても淋しいことであるが、もう連続9年である。
ON時代からの巨人ファンとしては、王監督と長嶋監督が3年交代くらいで
やってくれると最高なのだが、なかなかそうもいかないだろう。

私の巨人戦観戦は主にラジオだけれど、
よく、「何でここでこのピッチャーなの?」と不思議に思うことがよくあった。
それで難なくしのげばいいのだけれど、それで打たれることも多かった。
信頼のおけるピッチャーが、ガタガタに崩れることもよくあった。
それを私はここ数年、ピッチングコーチのせいにしていたのだが、
「コーチと話して救援投手を決めても、別の投手の名を審判に告げてしまう。
 2軍に落とした選手の名を告げたこともあったという」
という新聞記事の一節を読んで認識を改めた。

そういう話題の特筆すべき一例として、去年の斎藤先発の試合のことが
今でも挙げられているのがおもしろい。
あれは、斎藤がようやく復帰した初登板の日で、勝ち投手目前、
9回に岡島が2アウトまで取って、あと1人のところだった。
ほとんど誰もがこのまま岡島が抑えてくれるだろうと信じていた。
ところがピッチャー交代、桑田、と告げられて、悲鳴をあげたくなった。
桑田はそのころ登板のたびに打たれっぱなしで、不調が明らかだったからだ。
その時の岡島は調子がよさそうだったので、勝つことに徹するならば交代の理由はない。
ベテラン斎藤の復帰勝利を、ベテラン桑田で締めくくるという
ドラマを演出しようとしているとしか思えなかった。
気持ちはわかるけど、それは危険だし、岡島にもいいことではないと思った。
不安は泣きたくなるほどみごとに当たり、
桑田はランナーを出した上、逆転ホームランを打たれて負けた。
その時私は珍しく斎藤のはつらつとした笑顔を見たくてTV観戦していたが、
ベンチの中の硬直し呆然とした斎藤の顔を見ていられなかった。
あの時だけはさすがに、ばかやろう、長嶋、監督辞めろ、と思ったものだった。

今となっては、腹の立った試合も何もかも、微笑ましい思い出の数々である。
要するに彼の特徴は、ドラマを意識するところにあったのだ。
個々の試合ではセオリーどおりではない意外な展開から生まれるドラマ。
優勝に向けて圧倒的な強さで邁進するドラマは結局実現しなかったけれど、
絶望的に勝率を引き離されても、それを追いついてひっくり返す奇跡のドラマ。
今年ももうちょっとところでつまずいてしまったけれど、
ほんの数日前までは、奇跡の逆転劇も思い描けていたのだ。

川上巨人時代と今とでは、状況がまったく違う。
ドラフト制によって、若い選手を思うように獲得できなくなり、
ほしかった選手を他の球団に取られてしまう。
川上巨人のV9の置きみやげのように、どの球団も「打倒巨人」を標語にしている。
まず巨人には勝とう、といった上での優勝争いを展開するのである。
それでいて、球団側からは、川上V9時代の強さを期待される。
独特の勘を最大の拠り所とする指揮官としては、さぞかしお疲れのことだろう。
ゆっくり休んで、英気を養ってほしいものである。
もうこれで終身引退などとは信じられないから、あくまでもひと休みである。

新監督は原、というのは、どうも私には頼りなく思われる。
ヘットコーチを務めては来たものの、どうも選手時代の印象が薄い。
打撃陣はそろっているし、ここ数年のもどかしさは投手にあるのだから、
本当は次の監督は堀内か江川であってほしいと思っていた。
長嶋ほどの存在感をかもし出せるのは、若手ではやはり江川だろう。
けれども、いきなり江川というわけにも行かないから、つなぎの原というわけか。。。
3年後には、長嶋監督復帰か、江川監督就任??


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