自室でもテレビを見られるようにはしたものの、めったに見ることはない。 でも、先々週、雑誌の記事をもとにいくつか新しい連ドラを物色して、 先週も見続けたのが、この「プリティガール」と明日の「恋ノチカラ」である。 (大河の「まつ物語」は、それを見逃さないために自室でテレビを見られるようにした のだから、他のドラマとは別格である)
「プリティガール」は、「ロンバケ」の桃ちゃんが主役をやるとどうなるのかな、 という興味だけで、先々週、途中からちょっとのぞいてみたのだった。 この途中から見た第1話がおもしろかったとは言い難いけれども、 屈託なく常に前向きに新しいアイディアを出してデパートの窮地を救って行く ヒロインの姿には魅力を感じたので先週も見、きょうも見た。 先週は、婦人服の専門店がいくつか入っているフロアで、 異なる店の品物を着合わせて買うことができるというアイディアを ヒロインの花(名前)が強引に進めて、客にも店員たちにも喜ばれ、 売り場全体を活気づかせるような話だった。
きょうの話は、デパートのIT化を進めようとする専務(社長の息子)が、 小手調べに、受付嬢を廃止してコンピューターによる案内機を設置する、 それに対して、花がそれに優る受付コーナーを発案するというものだった。 まず、受付嬢以外の社員を数人並べて、分野別の案内コーナーを作り、 客の目的にふさわしいデパートでの回り方や過ごし方を説明する。 普通の売り場については通常の受付嬢が、平面図に書き込みながら説明する、 その際、その売り場の途中にあるいい催しとか、 客のようす(夫婦とか、子連れとか)にふさわしい場所の紹介などもする、 説明役でない受付嬢は、場合によっては客を案内して歩く、 そうしながら、いろんな売り場の情報を集めておく、、、などなど。
花は、いわばカリスマ店員とでもいうべき役柄だろうか。 どんなところに配置されても、知恵と明るい勢いで周囲の人間たちを変えてしまう。 片平なぎさが演じる人事部長は、そこを見抜いて花を配置する。 そして、花のアイディアは、〈人間的な商売〉〈心の通う商売〉というような 共通点をもっている。 それはお客のためばかりでなく、こうして工夫すれば店員も仕事が楽しくなる、 つまり、店員自身の生活の充実ため、という意味も含んでいる。 それに加えて、きょうの物語は、リストラ阻止という点も含んでいた。
もっとも、きょうの物語の本当のテーマは、花の友人である受付嬢の 婚約問題に対して、飾らないつきあい、嘘で固めないつきあいを訴え、 その友人が自分の仕事に誇りがもてるようになる姿を描いたものである。 その大きな転換点を作るのが、花の案内システムだったに過ぎない。
その受付案内サービスは、常時、フルタイムで実現するのは、現実には難しいだろう。 ドラマだから天真爛漫に具体化して大成功をおさめられるのだ。 テレビドラマにしろ映画にしろ、こういう〈いい気な〉場面というものが つきものなのであって、場合によっては心底ばかばかしいこともある。 けれども、作り物の効用というものもあって、 そうして、ある真理を描くことも可能なのである。 それをばかばかしいと感じるか、真理が表れていると感じるか、、、等々は、 見る人それぞれの生活によってさまざまなのである。
ここ何年か、小売店はもちろんのこと、大手スーパーやデパートも 相次いで潰れている中で、何か考えさせられるドラマである。 まぁ、仮にそれほどの収穫はなかったにしても、 稲森いずみの花が、さわやかな1時間をもたらしてくれるだけでも、いい。
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