TENSEI塵語

2002年01月26日(土) 某牛丼屋の話

2月10日に市吹が合唱と合同演奏をやらなきゃいけない関係で、
今朝はその合唱の練習場に見学に行った。
楽譜の違いや、テンポ・表現の違いで著しいところがあるならば、
来週の合同練習の前に修正しておく方がいいので。。。
それで、午前中に岩倉まで行って昼過ぎに帰り、
夕方また市吹の練習で岩倉に行って、深夜に帰ったわけである。
それは実にめんどうなことだけれど、
あとで焦りまくるよりはうんとトクなのである。

昼過ぎの帰り道、どこで昼食をとろうかなと迷った揚げ句に、
結局吉野家に寄ることにした。
大学時代から、もう四半世紀に渡る吉野家ファンなのである。
この店が廃れては困るので、できるだけ行かねばならない。
・・・などと心配する必要は全くなかったのである。
私の前を走っていた車が2台、その店の駐車場に入った。
一方は食べる客で、一方は弁当を買って帰る客だったから、仲間ではない。
駐車場には車が並んでいた。
店の中は8割ほどの席が客で埋まっていて、弁当待ちが3人立っていた。
しばらくすると、店の入り口に立って待つ人が数人たまるようにさえなった。

安い牛丼を食べさせる店ができたために値下げを余儀なくされ、
ちょうどそのタイミングを計ったかのように狂牛病騒動が起こり、
吉野家をつぶすべく世の中が動いていたかに思われたが、
このたくましさには感心するしかないようだ。
店内の風景も、以前とはかなり違っているところがある。
家族連れや、若いカップルが増えている点である。

先週日曜日の新聞に、この吉野家のことが書かれていた。
値下げ前は客数も減っていた。
客が減るということは売り上げが減るだけでなく、
味が落ちる、800〜1200食だと1番うまい、という。
それは、ある程度の売り上げがないといい食材が得られなくなるという
意味なのだろうけど、商品の回転の問題でもあるのだろう。
以前、稀に、煮詰まって辛くなりすぎた牛丼を食べさせられたことがある。
あの時は、同じ吉野家でも、ここにはもう来ないぞ、と思ったものである。
客の入りの悪かった某ハンバーガー屋で買って食べたら、
中味が干からびているようで、やっぱりマックじゃないとダメだと思ったものだ。
そのマックは、ある程度の時間がたったら捨ててしまう、
捨てる分が最小限に抑えられるよう、状況を見て計算して指示するのが、
各店長の務めである、という新聞記事も2、3年前に読んだことがある。
こういう商売の奥の深さは、単なる消費者の想像を絶する次元のものである。
牛丼の値段を400円から280円に下げたときの試算にも驚く。
290円にすると、来客数は30%増え、利益も確保できる。
270円だと、来客数は45%増えるけれど、利益はたぶん減る。
280円だと、客数は40%増えるけれど、
仕事のやり方を抜本的に改めないと利益が出ない。
そうして、280円に決め、仕事のやり方や食材の求め方を工夫した、という。

こんな簡単な新聞記事からも、商売の奥の深さを感じさせられるし、
こういう企画を任され、決定する人の心情はどれほどのものであろうかと、
きょうはそんなことも思いながら、久々の牛丼の味を噛みしめたのであった。
 


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