きょうは予想よりも早く帰れたので、帰路をCD屋寄り道コースにした。 そして、「砂の器」DVDを買って帰った。 一昨日、北さんに「宿命」のCDを貸す前にちょっと聞き直してみたら、 やっぱりこの映画も抗いがたい良さがあると思って、欲しくなったのである。
夕食後、やっぱりさっそく見たくなってしまった。 その前に見るべきものが、橋本さんが貸してくれた「屋根の上のVn弾き」を始めとして いくつもあるのだけれど、やっぱりどうしても見たくなってしまった。
実にいい映画である。 清張原作の骨格に、肉や血色まで与えた映画だと言いたくなる。 戦後の音楽界に、あんな曲のあんなコンサートが脚光を浴びるなんてことはないはずでも、 清張原作どおりに現代音楽(コンピューターミュージック)では映画にならないし、 あの音楽をバックにした親子の旅の場面こそが、この映画の見所なのである。 また、最初から見直しても、実に緻密な構成で展開されている。 大学時代に有楽町の名画座で体験したとおり、 立ち見で見ていても、立っていることを忘れてしまうほどの名作である。 (そういう意味では、同じ監督の「事件」「鬼畜」も名作である)
しかし、このキャスト陣、何とかならなかったのかな、 と数度目かを見直して、改めて疑問に思う。 俳優がもっとうまかったら、文句なしに日本映画の代表的作品に推薦できるのに。。。
丹波哲郎は、全体としていい雰囲気を出しているけれど、肝心なところで説得力を欠く。 森田健作は、全体的に大根役者である。学芸会並みである。 そして、肝心の加藤剛。 ピアノを弾くまねも、指揮姿も、ちょっとひどすぎる。 せっかく親子の旅の映像とBGMに陶酔していても、 ピアニストの姿を見ると、興ざめしてしまうのである。 そうケチつけながらも、もう数回見直しているわけだけれど。。。
不思議でしょうがないのは、あれほど映像にこだわりを見せているのに、 俳優の動きが絵になってなくても、そこにはこだわってないことだ。
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