| 2002年05月12日(日) |
PINK FLOYD「Animals」 |
今この座っている椅子から立って、どこに行くにしてもアスレチック状態なので、 ちっとは片づけしよっかなー、と思って昼前に1時間ほど片づけをした。 買ってきたもの、本棚から出して見たもの、そういうのを然るべき場所に置かずに、 手近なところにぽんぽん積み重ねて顧みることがないので、山のようになっている。 それを上から順番に片づけて行くと、忘れていたものが発掘できて楽しい。 この楽しみは、きちんとお片づけできる几帳面な方々には決して味わえまい。 人生に思わぬ楽しみをもたらす知恵と言ってよい。(・・☆ポカッ)
さて、こういう作業をする場合もっともよくBGMにするのがピンク・フロイドである。 バロック音楽やウインナ・ワルツやバレエ音楽も流すけれど、 心地よく高揚するリズムがイヤな作業を前にしても気持ちを鼓舞させてくれ、 心の大部分が音楽の方に向かいながらも、歌詞を聴こうなんて集中力は生じない、 そういう点で、ピンクフロイドがこういうイヤな作業をよく手伝ってくれるのである。
きょう聴いたのは「アニマルズ」という組曲である。 「翼を持った豚」という歌が最初と最後にあって、その2曲の間に、 「Dogs」「Pigs」「Sheep」という長い3曲の歌が収められている。 もちろん動物について歌ったのでなく、内容は人間について歌ったものである。 さ〜て、これを、組曲というべきか、それとも、交響詩とでも呼ぶべきか。 それとも、プロローグとエピローグを伴った、3楽章仕立ての交響曲と言うべきか。 「Dogs」などは、交響曲の第1楽章でよく使われるソナタ形式と言えなくもないのである。 また、協奏曲と言ってもいいかもしれない。 各曲とも、彼ら特有のロック演奏の背後に、動物の鳴き声が聞こえるから。 「Pigs」は明らかに人の声を電気的に加工して豚の声に模したものだが、 あとの2曲は、シンセ等で作ったものなのか生録なのか判じにくい鳴き声が聞こえてくる。 それらを各曲のテーマにちなんだソリストと見なせば、協奏曲とも言えるわけである。
さて、高校時代からの長いつきあいになってしまって、歌でもギターでも、 ピンク・フロイド節の虜になっていることはもう否めないのだけれど、 それから、ジワジワと聴く者の心を高揚させて行く盛り上げ方もやはりうまいけれど、 この曲については、もうひとつ特筆すべきことがある。 私にとってピンク・フロイドの最大の魅力はリードギターの扱いなのだが、 この曲のリードギターのメロディーもやはり格別にいい、、のみならず、 よく聴いてみると、この曲のリードギターはその曲の動物の鳴き声を模しているのである。 それは「Dogs」に顕著で、そう意図しながら、実にみごとな音楽を作っている。 そうしてまた、この曲では犬の鳴き声が実際に聞こえる(本物かどうかは知らない)が、 それらも、曲の流れの中で実に調和して展開されて行く。 まったく、少なくともこの「Dogs」については、芸術品!!と太鼓判を捺したい!! と思い続けながら、もう30年ほどの月日が経っているわけである。
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