きょう中間考査が終わったが、2日目に1年生の数学のテストの監督をした。 始まって3分もしないうちに、テスト用紙を半分に折って頬杖体勢に入った生徒がいた。 1年生の1学期中間テストの数学など、ほとんど中学の復習程度だろうと思っていた。 かつて担任していたときでも、この中間テストだけは楽勝だったという声を聞いていた。 実際、この生徒のようすを見てから、問題を見てみたのだが、 大きい1番から4番まで2問ずつあるうちの、(1)の問題は書かなくても解ける程度のもの。 −8−7×(−6)×5/3−42 というような計算問題や、 7x−5=3(x+5) ・・程度の方程式、不等式、連立方程式の問題。 (1)は中学の復習問題で、(2)が高校での発展問題かな、と思ったが、それはわからない。 で、巡回しながらその生徒のところに行ったとき、答案用紙をちょっと見せてもらったら、 一次方程式を解こうとした走り書きはあったけど、答は出ていなかった。 最初の計算問題を指して、これもできない? と聞いたら、まったく、と彼は答えた。
この状態で彼はあと2年半以上も数学の授業を受けることになっている。 今回のテストには私でも暗算で解ける程度のものがあったけれど、 高校数学を忘れてしまった身には、1年生2学期以降3年生までの数学は何もわからない。 今の時点で何もわからない子の今後の不幸は想像を絶するものがある。 おそらく彼は、計算練習でも何でも、何にもしないまま中学時代を過ごしたし、 授業以外の時間に先生が手当てしようとしても、それを拒み続けてきたのだろう。 また、それでいて高校ぐらい出ておかなきゃいかん、と世間が攻め立て、 実際高校に入れてしまうところが、少なからぬ若者たちの不幸の源であるように思われる。
私は入学試験というものは、その学校での勉強に耐えられるかどうかを見るもの、と 考えたいのだが、現実にはまったくそうなっていない。 試験ができていようがいまいが、上から順番に定員までを入学させることになってるから、 小学校の算数から中学校の数学まで、まったくちんぷんかんぷんの状態であっても、 高校数学の授業を受けさせることになってしまうが、こんな残酷なことがなぜ許されるか。 入学生のすべてが、分数の計算がわからず、加減乗除の入り混じった計算ができないなら、 そのように授業を進めることも(高校数学をやらないのは反則だけど)可能だろうが、 そんな生徒ばかりが集まるはずもないのである。 わからない子には手厚い手当を、という要請に従って、授業外に算数から教えたとしても、 授業の方はどんどん先に進んで追いつかず、授業中の不幸まで克服できるわけではない。 (そしてまた、現実には、そういう生徒ほど〈親切〉から逃げ回るものである)
たまたま数学の話になったけれども、多くの教科に共通する深刻な問題なのである。
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