TENSEI塵語

2002年11月24日(日) 学習意欲低下問題

朝日新聞が今朝からまた学習意欲低下についてのシリーズを始めた。
「くもん」が行ったアンケート結果で、学年が高くなるにつれ
学習意欲が低下しているというデータも特別に紙面を割いて載っている。

昔だって、そう勉強の好きな子どもは多くなかったはずである。
勉強なんて、嫌いがあたりまえ、好きになれる子は幸運な子だと私は思う。
勉強嫌いの子だって、何もかもやれと言われるのが嫌いな子がほとんどで、
いわゆる勉強は嫌いでも、特定の分野については勉強熱心という場合が多いだろう。
ただ、そのゆとりも与えられない子は、ますます勉強がつまらなくなって行く。

昔は勉強嫌いが多いことはそれほど問題にされないで、それなりに対処されていた。
それが最近問題にされるようになったのは、「ゆとり教育」なるものへの反省、
TVゲームやケータイの普及、大学生の学力低下問題、
不安定な将来設計(目標・夢を抱きにくい社会)、、等々の問題のためだろう。
また、最近への途中経過として、荒れる学校と落ちこぼれ問題があって、
勉強しない子に対して目を向けるようになってきたという過程がある。

そして、精神科医の和田氏が、昨今の精神科医らしからぬコメントを寄せている。
「外からの圧力を強めた方が現実的な対策になる。
 受験競争や詰め込み教育型の強制力は必要だろう。
 親や教師は勉強する子には褒賞を、しない子には罰を与える
 〈あめとむち〉を有効に使うべきだ」
まぁ、要するに、以前の価値観に戻れ、というわけである。
しかし、批判が高まって崩したところに戻すのはたいへんなことだろう。
しかもこの人の場合、「学習意欲低下の主因」を「学歴社会の幻想の崩壊」と
とらえているのに、どうやって受験競争に駆り立てようというのか。

私が思うに、「学歴社会の幻想の崩壊」というのはおとなの思い込みであって、
学習意欲低下の原因は、それ以前の目の前にあるもののためである。
TVゲームはおもしろすぎるし、次から次へと多彩である、
ケータイは使い始めたら手放せない、
TV番組は見始めたら見続けてしまうようにいろいろ工夫されている、
漫画の本も際限なく新しいものが出版される、、、
要するに、心奪う楽しみが氾濫しているのである。
特にゲームとケータイは、勉強する暇をなくさせてしまうのである。
その上、小学校でも中学校でも宿題が減った、というよりは、
小学校などは、自由に家庭学習をやるという形になってしまった。
何をするかは自分で決めなさいでは、決められなくて目先の楽しみに走るのが当然だ。

和田氏の言うように、子どもたちへの圧力は必要である。
幼少時からの道徳的な事柄の圧力はもちろんのこと(こちらの衰えがより問題だ)、
学習面での圧力も必要である。
それはたとえば、小学校低学年のうちから、授業のノート(または教科書の該当個所)を
家庭学習帳に毎日写すことを習慣づける、という方法でもいいのである。
その上で、興味を持った自由学習が加わってもいいのだが、
帰ってから復習しなさい、のような曖昧な指示よりも具体的に日々復習することである。
その復習が、機械的なものに終わってしまうか、内的発展を伴うものであるか、
個人差はあるだろうけど、機械的でもかまわないのである。
復習することによって、次の授業に入りやすくなり、理解も深まるから、
学習意欲低下も、学力低下も緩和されるのである。
将来の夢だとか見させるよりも、現実的に学習内容をわかりやすくする、
しかも、子ども自身の理解力を高める方策を考えるべきである。

英語力についても批判の多いところだし、実際私自身も会話はまったくダメである。
読み書きする英語から、話せる英語、使える英語、生きた英語へ、と言われ始めて、
AETなどの導入も行われ、小学校からそれも始められているが、
要するに、基本的な教育政策がなってないから、英語力が拙いままなのである。
私は中2ぐらいまでは、日常英会話の授業のみでいいと思う。
もちろん、話す、発音するだけでなく、書くことも行うのだが、
その代わり、その授業の1クラスは、多くて8人くらいまでである。
今の4〜5倍の英語教員と部屋が必要になる。
でも、それくらいの頻度で話したり発音したりしなければダメである。
現状のように40人では、聞くだけレッスンで終わってしまうのである。
一斉に発音する、という方法は、ある種の生徒にはそれで十分でも、
ズルをする生徒にはなんの甲斐もない、そしてそういう生徒は日ごとに増えるものだ。
8人以内の小単位での英語教育を続ければ、英語嫌いはほとんどいなくなるし、
読む力のしっかりした下地も作られることだろう。
もちろん、高校でも、Reader の授業と並行して継続してほしいものである。

教育政策側は、机上で理論ばっかりいじくって悦に入っているが、
現場を現実的に変えないことには、なんの解決にもならないのである。

朝日の連載が続いている間、さらにまた同じ問題で書かざるをえなくなるだろう。


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