一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年06月17日(火) その14


その14

足長さんは、私にこっちに来て座るように、椅子を出して指差した・・・
 
終戦直後、彼は、どさくさに身を隠し息を殺しながら、人ごみの多い汽車に乗り関西に来たそうです、
尼崎の駅に降りてたのは労働者が多い街だったからで、最初は屋台で商売をしていたそうです・・・
幾らかの小金を貯めて、今のマージャン屋を始めたそうです・・・

その間、名前も年齢も隠して、20数年、地を這うように身を隠し、生きてきたそうです・・・

「これを見てみますか・・・」と、・・・・足長さんは私に両手首をみせた、・・・(本当にビックリした!)

たしかに切った後がしっかり残ってた!初めて見たこともあって息を呑んだ!言葉が出なかった!

「関西に逃れて来る時に、なもない小さな駅に降りたんだ・・・」

「駅を降りて歩いてたら、お坊さんに声をかけられ、そのままお寺にお世話になった」

そのお寺でしばらく掃除ばっかりさせられたそうです・・・少しずつ心も洗われて・・・
身を隠し息を殺した生活から、始めてそのお坊さんに自分のことを打ち明けたそうです
すると・・・お坊さんが言ったそうです!

「そのままでいいから生きなさい!そして・・一日、一人、相手の身になってゆっくりと話を聞いて下さい」

「自分で命を絶てば、必ずあの世でも、逃げ待とう日々が、必ずきます!」

足長さんは20年間と言うもの、出来るだけゆっくりと相手の話しをきくようになったそうです、

              
             また・・・今度!


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