一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
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その18
高度成長まっただなかの尼崎、今、振り返るに、尼崎らしい尼崎だったような気がします
阪神工業地帯で働く労働者たちは、全国の地方から集まった人たちで溢れ、朝、早くから夜遅くまで、働いて働いて・・・それでも仕事が次から次と、これでもか、これでもかと・・その労働者たちを癒す夜の水商売の人たちも地方から出てきた人で溢れてた・・・
その水商売の人たちの店が開くまでに毎日のように行くのが、パーマ屋さんで、どこの店でも繁盛してましたね、ほとんどのパーマ屋さんは見習いさん不足で、田舎の方へ人手、探しによく行ってましたね、
その子の田舎も丹後の山奥から出て来たと、言ってました・・・二年過ぎ、三年経っても頭を触らしてもらえず、ただ髪を洗うだけの毎日だったようです、洗い方が気に入らないと怒られ、「田舎に帰すよ!」って、怒鳴られてましたね・・・
いつものように朝、お皿をさげに、その店に行くと、小さな缶のメンソレータムを・・
「良かったら使って下さい!ひび割れにいいですよ」・・・・(僕より君やろ!)
「あ、ありがとう!」・・でも君の手も・・・痛いはずなのに・・・
目が疲れてきました、また次の日に・・
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