一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年08月15日(金) その24

その24

クリスマス・イブ・・・

朝からバタバタした!商店街を抜けた所に、足長さんのマージャン屋よりも3倍ほど大きなマージャン屋さんからオムライス50個!の配達があり、一枚一枚運ぶのも大変なので
オヒツのデッカイのに入れて、お皿を五十枚、持って、あとは、そのマージャン屋さんに行って注いで渡す!いちいち運ぶ思いをすれば、こっちの方が早くて楽でした・・・

50個のオムライスも注ぎ終わったら3人前ほど残り、帰りに足長さんの所で食べてもらおうと・・・店に持って行ったら・・・足長さんが灯りも点けづ椅子に座ってた・・・

薄暗い店の中から、足長さんは、私に一枚の手紙を渡しながら・・・

「朝、起きて、二階の見習いさんにコーヒーでも入れてあげようと階段を上がって見たら
    居なくて・・・枕元にお礼の手紙が3通おいてあってね・・」

足長さんは、自分えの手紙をよんだせいか・・・目が潤んでて・・・

私はオムライスだけを店に置き、忙しい店へ飛んで帰った・・・

休息の時間に彼女からの手紙を読んだ・・・

「わたしは・・・やっぱり丹後に帰ります・・・ありがとうございました・・・
 
 小さい頃から髪を触るのが好きで、いつも夕方になると、お婆ちゃんの髪に櫛を通して
 
 ました、するといつもお婆ちゃんが、卒業したら、ちゃんと修行してパーマ屋さんにな

るといいよって!私は早く一人前になってお婆ちゃんの髪を結ってやりたいと・・・

思ってました、自分の思うようにはならないものなんですね・・・私は途中で挫折した

けど、貴方はがんばって自分の店を持ってください!いつも・・・星をみて・・・

祈っています。それから・・・あの親分さんにも、よろしくお伝えください・・・

メンソレタームはもう、いらなくなりました、よかったら使ってください・・・」

店の3階は倉庫になってて、大きなメリケン粉の袋の横で泣いたのを憶えています・・・

やっと仕事も終え、夜中の一時頃・・・外は沢山の三角帽子を頭にかぶった酔っ払いが、

手にケーキを持って、次なる店へフラフラ〜フラフラ〜

洗い物でびっしょり濡れたコックコートを絞りながら、一番!輝いてる星に・・・

     メリークリスマス!がんばれー!って叫んだ事がありました・・・

           もちろん・・・30年、前のことです・・・


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