一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
番外編・・・その1
{ 五、六年、前になりますか・・・琢と日本海へツーリングに行った事があります、
天の橋立から伊根町をぬけて経ヶ崎へ行く途中で、琢が・・・「ちょっと休憩しよう」と
ちょうど、それが、宮津の駅だったんです!駅の長椅子に座って、何気なく外を・・・
見てたら、食堂があって、琢が、「お腹すいたなー」なんて言うから、二人でその食堂へ
行ったんです、二人で陳列を見ながら、あれやこれやと決めかねていました・・・
隣にパーマ屋があって、外を掃いてる女の子がいて・・・何かどっかで見たことが・・・
あるなーなんて思いながら食堂の中へ・・・琢と定食を食べながら、琢に、
「先っきの子なーどっかで見たことがあるんやけど・・・」
そして・・・ビックリしたんです!「ええ! ええ!」 「うそうそ、うそうそ」
私はも一度、外に出て確かめようと・・・もうその子はいなくて、その店の看板を見た ら、間違いなく、あの時の、見習いの子の名前でした!えええ!でした!じゃ!あの子
は、娘さんだ!ほんまに、あの時の、顔と同じ顔をしてました・・・そーっと店の中を
覗いたら、もう、すでにお客さんが座ってて、あの時の見習いさんは、髪を洗うだけ
じゃなく、パーマを掛けながらお客さんと、笑顔を交えて、優雅に・・・自信に満ちて
お喋りをしてたんです、娘さんが時おり下を掃きながら、お母さんと顔を見合わせ
ながら、笑って話してるんです・・・・・そうでしたか、貴方は夢を棄ててなかった!
あれから、貴方にどんな人生があったんでしょうね・・・苦労したんですか?・・・
おばあちゃんの・・・髪は・・・貴方の店で解いてあげたんですか?・・・
たった・・・5分ほどの事でした・・・じいーんと、じいーんと、しました・・・
食堂に帰って、琢に話したら・・・「へーーなかなか根性ある人やねー」・・・
また・・・二人でバイクに乗り・・・宮津を後にしました
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