一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年08月25日(月) その25


その25


今でも忘れられない、先輩がひとり、いるんです。

私がこの中央店に来たときには、その人は、すでにチーフ格で、高いコック帽をかぶり、
背も180センチほどあり、なにか、フライパンを振るのが華麗と、言うか、綺麗と、
言うか、今、思っても、あんなセンスを持ち合わせる人は、あれから三十年、見たことがない、ぐらい、カッコよかった!さわやかでしたね。後々、その訳が解ってくるんですけど・・・

私が出前から帰ってくると、いつも笑顔で「ごくろうさん!」って言ってくれるんです。
なぜか、その笑顔で、配達先で嫌な事があっても、救われてましたね・・・。 


今はどうだか分かりませんが、当時の洋食屋さんは、特にオープン・カウンターでの職人の上下関係が、はっきりしてて、初めて店に来た見習いさんは、二年は出前で、三年目から裏方になり、仕込みの手伝い、ごはん炊いたり、サラダを盛ったり、などなど・・・

五年目ぐらいから、レシャップと、言って、お客さんからの注文をすべてハークして、
それを、料理をつくる人に用意してあげる、ラグビーで言うと、スクラムハーフ!
バレーで言うと、セッター、野球で言うキャッチャー!ようするに、カナメ・要・
ですね。忙しい時、店がうまく流れるかどうかは、レシャップ次第!

そして・・・下済みからいろんな経験を積んで、やっと七年目から料理を任せられるほどになるのが・・・チーフ!です。これは凄かった、仕入れから仕込み、料理を作りながら
、お客さんとの会話、お客さんの顔は一度話したら絶対に憶えてます、カウンターに座ったら、必ず会話をしてます、いろんな話題性を身に付けてます、お客さんが減るも増えるも、チーフ次第でしょうね!

その人は、チーフでした、出前が込んでくると、レシャップに後は任せて、ニコニコ
しながら、配達を手伝ってくれる人でした・・・。

ある日・・・そのチーフの前のカウンターに、和服姿の綺麗な女性が座ったことが・・・
       ある事の始まりなんです・・・。

       
          また次の日に・・・   








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