全てが終わった。 臨終に居合わせるというのは、 私にとっては初めてのことだったが、 離れて暮らしていたにもかかわらず 祖母の最後の瞬間に立ち会う巡り合せになった。
自分の家に帰ってきた今、 実感がないことに戸惑う。 たしかにそこにいたのに、 なぜかまた訪ねればそこに笑顔がある気がする。
これは、もしかすると私の心の抵抗だろうか。 現実を拒否しているのだろうか。
祖母のお決まりの口癖を思い出しても、 涙は出ない。 またその言葉が聞ける気がして、 それが当然な気がして、奇妙だ。
でも、分かっている。 もういない。 そう思うとき、逆にとまらない涙があふれる。
思っているより、押し殺してしまっているのかな。 自分の反応の奇妙さに戸惑う。
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