Silent Song
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2002年03月16日(土) 「赤いチューリップ」

赤いチューリップの花が1本、
あります。

ほんのりとした
暖かな色合いの

柔らかな花びら

綺麗に咲いてます。

・・・・・。

赤いチューリップの花は…
「暖かさ」「優しさ」「思いやり」の象徴です。

それを人に与えることは
私にとって当たり前のことであったし

それを”与えあう”のが
人間のあり方だと思ってました。

当然だと思っていました。

でも
私が接した現実は
どうやら違ったと感じました。

赤いチューリップを
他者に与える人の方が稀なことだと。。

私は良く「優しい人」と言われました。

…でも自分がこういう境遇になるまで
気付かなかったのです。

他の人から「優しい人」といわれるのは、
その人が「自分より優しいなぁ」と感じたから
そう思うのであって、

つまり、裏を返せば

他の人間の多数が自分より
『優しくない』という事実なのだということを。

だから

私が赤いチューリップを与えても
相手は私に赤いチューリップを返さない

または

私の中が
とても寒くて凄まじい吹雪に見舞われ
とてもとても辛いから
他の人の心の中に
自分が相手だったら与えるだろう
赤いチューリップを他人に求めても
心の救いを求めても

相手は「冷たい」ということを。

・・・・・。

なんだかとても
虚しくなりました。

自分が優しさや思いやりを
そういう人達に与えることが

なんてバカバカしいことなんだと

強く、悲しく、憤りを持って
そう思いました。


「・・・捨ててしまおうか」

そう思いました。

持っていても
持っている分、辛いだけだし。

いっそのこと、この赤いチューリップを
捨ててしまえば
他の人と同じようにドライに接することができるし

そういう対応をされても傷つかないし、
そんな社会や世の中に失望することもないでしょう。

こんな殺伐とした世の中に、社会に、
うまく適応できるようになるでしょう。

ドス黒い現実も
不正も
嘘も

何も感じないように、なるでしょう。

・・・・・

・・・でも
私は捨てたくなかった。

この綺麗な花を
汚したくなかったのです。

でもこのままでは
この花は枯れてしまう。。

灰色のドライな空気にまみれ
この花は枯れてしまうことでしょう。

…もしここで
枯らしてしまったら

もし同じように
赤いチューリップを持っている人が現れ
その人と接することになった時

枯れた花でしか接することしか
できなくなってしまう

そうしたら
その人を
その人の中の綺麗な花を
今の自分のように
傷つけることになる

枯らすことになってしまう…

それがイヤだった。

その人に
自分のような思いはして欲しくない。

赤いチューリップの花
持ち続けて欲しい・・・・・・。

・・・・・。

私はその花を
ガラスケースの中にしまい
そっと凍結させることにしました。

・・・もしかして
本当はもう既に枯れてしまっているのかも
しれないけど・・・・

でも、せめて「残しておけるのだ」と
そう
思うだけでも、思いたかった。

今は、心の奥底に
ガラスケースの中に入って
眠っています

黒い灰色の空気が吹き荒れる
冷たく重い鎧のその地下の

心の深い深い場所で


「凍った花が解凍される日まで・・・・」


…例え解凍される日がこなくても

そのまま
私の心の奥底に

その花はずっと
大切に保存しておこう

凍らせたまま・・・・

でも、

この赤いチューリップが

私の心の何処かにあるということは

すなわち

また
辛い思いをしなくてはいけないのだろうな…

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「あなたが赤いチューリップを
大切に持ってる人ならば
私は身にまとった冷たく重い鎧を外して
自分の中の赤いチューリップをあげましょう」

「…でも、あなたが赤いチューリップを
持たない人ならば、
私は冷たく堅い鎧のままあなたに
それなりの対応をするでしょう。
赤いチューリップは
あなたには絶対、与えません。」

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