Silent Song
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2002年06月04日(火) 「声にならない声」

新聞を読んだ。
相談のページが載ってる曜日だった。
小さく、あるカウンセラーの手記が載っていた。

手記の題名は『声にならない声』。
記事をの概要を抜粋すると

 「白髪の目立つAさん(クライエント)は、誰に話すでもなく、
ぽつりとつぶやきます。A子さんに”そう言われる日々は
いかがなものか”と聞いても「窓際の花が綺麗ですね」と
相談室の花に話題は移る。相談員が気に入らないという
陰性感情は感じられないものの、かといって二人が、
今このときを分かち合ってるわけでもなく、
穏やかでありながらどこか人を寄せ付けない
Aさんの対人関係の持ち方が気になる。
 「話しても仕方がない」声にならない声がそう
いってるように聞こえる。
今まで自分の思いを伝えようとしても、うまく
いかなかったのだろうか、言った後の方がなお関係が
ぎくしゃくしたのだろうか、こんなことなら話さなければ
良かったと、涙とともに飲み込んだ言葉があったのだろうか。
そのたびに感じたであろう淋しさや悲しみ、失望は
どうしてきたのだろう。
 パズルのピースをあわせ、一枚の絵ができるように、
今は繋がりのないようなAさんの思いを一つ一つ
あわせていくことができたら、彼女の心の風景をみることが
できるかもしれない。」・・以上だった。

これを読んだとき、すごくそのAさんに、
己の気持ちがリンクした。
…というより、そのAさんがまさに今の自分の心の状況であり、
「そう、本当にそうなんだよ・・・」って己の中に封じてある、
心の中の傷、重ねて感じてきた失望、悲しみ、淋しさが己を突き動かす。

それと同時に、「Aさんは羨ましい」と強く思う。
そんな状態の気持ちを共感してくれるカウンセラーに出会えて・・・。

私はまさにそういう状態で、とにかく癒されたくて、
こんな状況から自分から抜け出したくて、医者や
カウンセラーのドアをたたいた。血を流しながら、
失望の怖さを抱えながらも勇気を出して。
…でも私の心を癒してくれる治療者、援助者はなかった。
逆にその対応にさらに傷つき、さらに深い悲しみと傷と失望と孤独と、
人間不信、を抱えることになった。
やり場のない悲しみはさらに深い心の場所へと抑えて、耐え続けた。

 私がもしあのとき、そういうカウンセラーに、
そういう対応をしてくれる人に出会っていたら…

・・・悔しい、悲しい、やり切れない・・・。
私は癒しが欲しかった。ただ、安心して涙を流せ、
己の傷を癒し、立ち直れるようになる機会が欲しかった。
それだけなのに。。
ただ、それだけが切実な願いだったのに。

・・・私は、
このカウンセラーのような言葉をかけて欲しかったのに。

(5日の日記へと続く)


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