QP-Days
くづき



 ジェリクル舞踏会へ行こう〜CATS〜

1/8(土)五反田CATSシアターに行って来ました!もちろん劇団四季の「CATS」を
観る為です。くづきは「CATS」を観るのは3度目。最初は95年の品川「CATS」、
2度目は本家のウエストエンド公演の終了真際。で、実は「CATS」ってあまりくづき
には合わない演目かも・・・と思ってました。

曲は好きなんですよ。仕事中は作業のスピードアップ用にスキンブルシャンクスの歌
を聞いたりするし、猫達の造型も良く出来てるし、ゴミ捨て場風の劇場の飾り付けも
大好き。でも、肝心の舞台が・・・途中で睡魔様に襲われちゃったんですよね、2回
とも。

初回の品川版は「猫に見えないよ!」とブっちゃけあまりの中途半端な出来にプリプ
リ怒って帰った位です。回転席で観たので舞台との距離が近すぎて変に醒めちゃった
のかも知れませんが、どーにも四季の役者さんたちが「猫」に見えなかったんですよ
ね。擬人化された猫にも擬猫化された人にも見えなくて、歌もあまり感動しなくて、
劇場の楽しさもあまり感じなくて・・・となんとも詰まらん!という印象しか残りま
せんでした。

ロンドンで観た時は「ちゃんと『猫』がいるー!!!」と現地の役者さんたちの
しなやかな動きや仕種に大興奮!グリザベラの生き方に泣けた・・でも舞踏会のダンス
シーンで睡魔様が。旅行の最終日に観たのもいけなかったのだけど、ダンスシーンが
あまり面白くなかったのよねん。
目の前でドタバタしてるのにグーッといってしまったのです。

そして、3度目の正直。



今回はモン子ちゃんと会社のKさん(先日の忘年会のセーラームン様)と3人で行きま
した。開演前に各々劇場内のゴミ見物。
「PS2があった!」「全部発泡スチロールかなぁ。ディテールよく出来てんなぁ」
「怪しい品川のタウン誌がゴミの中に・・・ロンドンのゴミ捨て場じゃないんです
か!?」職業病丸出しでゴミの「出来」について語り合う我等。
極め付けが「あのヤカンとグローブの縮尺スケール変ですよね?」「俺も思った!」
「1/6と1/8が混ざってます」「猫比率ならもっとデカいよなぁ」・・・

ソワレ公演。
今日の席は7列59番。回転席後ろの通路から3列目、ちょい上手の通路脇です。
CATSシアター自体は小さいですが、思っていたよりは大きいかも。もっと舞台と近い
かと思っていたんですけど、意外に遠く感じます。座席の間隔が広めなのはいいです
ね。円形の舞台なので少し上手側でも気分はセンター席ですな。

「CATS」の物語はあってないようなものですが、一応。
どこかの街のゴミ捨て場、月の輝くある晩。人間達の目を盗んでいろいろな猫達が集
まっている。今夜は年に1度の「「ジェリクル舞踏会」」で参加した「ジェリクル
キャッツ」の中から一番の素晴らしい猫を選ぶのだ。猫達は自分の得意な事、優れて
いること、ジェリクルに相応しいことを順番に披露し、誇らし気に歌い踊る。
舞踏会の最後に選ばれた唯一匹の猫は天上へ昇り、新しい命を与えられるのだ。

↑な物語なので個性的な猫たちが順番に出てきて、自慢を歌って踊って・・・の繰り
替えしな訳です。でも、それだけではどうにもならないので縦糸として嫌われ者の娼
婦猫グリザベラの存在があります。

オープニングの客席に猫達が瞳を光らせて現れるシーン。
LEDの猫目が昔より進化してる。昔のはもっとチカチカしたライトだったような。今は
ちゃんと猫の瞳型のグリーンライトでした。

キャスト表を見ると中韓キャストも混じった混成バージョンですが、言葉的にはほぼ
問題無し。あんなに台詞があるマンカストラップ(趙宇)も全然平気。
印象に残ったのはまずマンカストラップ。出番が多いっていうのもあるけど、舞踏会
を仕切るリーダーって感じが素敵。マキャヴィティの襲撃でフギャーと戦うとことか
カッコええー。グリザベラに子猫たちが近付くのをサッと止めるのも良い感じ。その
くせにガスの昔話とかは「またですか・・・」って感じで聞いてるのが良し!
マンゴジェリー(李涛)はランペルティーザ(章ヤヤ)の尻にしかれてそうな感じが
なんか可愛かった。2人のダンスはもう少し滑らかな感じがあったらもっと良かった
かなぁ。
スキンブルシャンクス(百々義則)は自分の番の時にニコニコとハリキってるのがい
い。仕事に誇りを持ってます!って感じが良く出てました。ゴミ機関車にシーンは楽
しいなぁ。他の猫たちも楽しそうに機関車役やってるのにタガーだけ樽の下でフラフ
ラしてんの(笑)。メス猫の寝台車替わりになる時も「かったる〜い」って感じで怒
られてるし。
アスパラガス(村俊英)はヨボヨボの時が良かったです。「昔はこうだった、昔は良
かった」と懐かしみ、お酒なんかが入ると若者に説教するような爺さまでした。そば
にいたら嫌だなぁー、五月蝿そうだなーって感じのガス。
村さんは品川CATSの時にはオールドデュトロノミーでした。今回もそうだと思ってい
たのでキャスト表みてちょっと肩すかし。グロールタイガーになった時にもう少し元
気があるといいなぁ。若い頃の再現ではなく、今のガスが演じてる精一杯のタイ
ガー、という風に見えてちょっと複雑でした。(そういう見え方もありなのかなぁ)
同じ村さんのバストファージョーンズもいまいちパンチが・・・。

ミストフェリーズ(松島勇気)は小さくてクールな黒猫の雰囲気がGood!ターンもク
ルクル決まってました。マジック技が派手ですねー。魔法のステッキで飛ばされるギ
ルバートの( ゚д゚)な顔にウケました。
オールドデュトロノミーを取り戻す前にタガーに「がんばれ〜!」と可愛がられてる
様子も良し。オールドデュトロノミーが戻ってきた時になかなか後ろを振り向いて確
認できず皆の喜びの声を聞いてからやっと振り返り、彼に抱き着くところでの不安か
ら安堵と喜びに変わる表情の変化が良かったです。
彼を見ていてメイクの耐水性の凄さを知りました。ダンスの後の大量の汗でも全く流
れないメイクは素晴らしい〜。

やけに背の高い黄色い猫さんはマキャヴィティだったのかな?カテコでも1人だけ
ポーンと頭が飛び出てました。ガスの昔語りの時に上手の方で仰向けでゴロロ〜ンと
してたのはランパス?この仰向け姿が一番猫っぽかったです。そのまま猫じゃらしで
遊びたい感じ。萌え。
バストファージョーンズの話を拍手で聞いてたおバカそうな猫は誰?(笑)他の猫達
から「お前変におだてんなよ!」とツッコミ入れられてたのが可愛かったです。

オールドデュトロノミー(石井健三)は全体に軽かった。見た目重そうなのに。
横町の御隠居みたいな親しみやすさはあるけど、歩き方とか座り方とかにあまり威厳
を感じないオールドデュトロノミー。もう少し重厚さが欲しいのよ〜。全部じゃなく
ても登場シーンとか1人でいるグリザベラを見つめる時とか。一番ガクッと来たのが
最後の「THE AD-DRESSING OF CATS」。
声が軽い。高いっていうより「軽い」の。(泣
最後の締めは威厳タップリに重々しく、仰々しい位にやってくれた方が全体が締まる
と思うのです。彼と後で書くグリザベラのダブルパンチが今回の観劇の不満です。

ラム・タム・タガー(芝清道)はオヤジなフェロモンで怪しい感じ。若さでブイブイ
(笑)言わせるタイプのタガーじゃなくで、昼間っから不健康そうな顔でアロハシャ
ツかなにか着て南国の酒場にいそうなオヤジ。全体のユル〜イ雰囲気とうさん臭い感
じがステキ!ジャケットの襟(首周りの毛?)をしょっちゅう整えるようにビシッと
してるのがエエなぁー。
皆から少し離れた場所が定位置なんだけど付き合いは妙に良くて、ガスの舞台やスキ
ンブルの機関車とかちゃんと参加してくれてるのが「変わり者」なタガーって感じで
した。でも参加してても微妙にヤル気なそうなとこもGood!ダンスの振りも他の猫達
がピシッと手を上げてる時でも、1匹だけウリャ〜ってテンポずれてやってました。
メス猫たちにはモテてるのかなぁ?そこんとこも微妙な芝タガー。
ダンスの連れ去りは小学校高学年位に女の子でした。連れて行かれた子も最初は照れ
てたけど、顔は楽しそうで仲良く踊ってました。いいなー、

女の子猫。
女の子猫たちはダンスかなぁ。スーっと伸びるシルエットが猫っぽいのでそれだけで
満足。(←オイオイ)ヴィクトリア(坂田加奈子)とタントミール(高倉恵美)は綺
麗ですわ。カッサンドラ(大口朋子)は舞踏会でタンブルブルータス(齋藤翔)と踊
る姿が色っぽいです。
シラバブ(池田祐実子)がイマイチ目立たなかったなぁ。声は綺麗なんだけど、もう
一つ突き刺さるような透明感が欲しかった。一鳴きでハッ!とさせられるような、月
を切り裂くガラスのナイフみたいな声が欲しいのよ。
ジェニエニドッツが服部さんだった事に驚いた。彼女はいつも笑ってる猫のイメー
ジ。ネズミやゴキブ〜リ'sたちのタップが元気よくて良かったなぁ。

ジェリーロラム(秋夢子)がカワええー!ガスの思い出話を聞いてる時の優しい眼差
しと劇中劇でのグリドルボーンの悪女っぷりのギャップが溜まらん。あの白いモフモ
フの毛を触りたい!グロールタイガーとのデュエット目立ち合戦も良かったよ。声を
張り上げるタイガーにプンプン!って怒りつつ、自分も負けないわよ!って綺麗な声
を響かせて良い感じ。

そしてグリザベラ(垂水由紀)。うーん、悪くなんだけど、なんだか物足りないグリ
ザベラでした。なんだろう、雰囲気が若いのかなぁ。可哀想オーラが出過ぎなのか
なぁ。
グリザベラって年を取っていて見た目もボロボロで、皆から嫌われているのも本人も
判ってるけど決して自分の事を「可哀想だ」とは思っていないと思うのですよ。ガス
のように過去に捕われるのでなく、今の自分の姿を受け入れて生きてる猫だと思うの
です。皆が嫌うならそれでもいい、でも一緒にいたい、みたいな微妙な感情から舞踏
会にやってくるんじゃないかと。なので、他の猫たちにいじめられた後がションボリ
しすぎだったり、皆が楽しく踊る姿を「いいなー」とジーっと見てるだけだとちょっ
と恐い・・・ってか本気でウザイだけの猫に見えちゃう気がします。
もっと表面はサバサバした顔でいてくれた方が最後の「メモリー」に込められた彼女
の心が伝わってくると思うんですよ。今回のグリザベラだと「♪私に触って〜」の
ところが彼女の寂しい気持ちだけが爆発したように思えて、ちょっと不満が。

月明かりの下で1人で踊るシーンって今回あったっけ?・・・そのシーンの印象が
全然残ってないのよね。(なかった?あったのに覚えてないのかなぁ・・ヤバいな)
寂しさや孤独感もあるけど、「猫らしい猫」としての生き方の誇りが感じられない
「メモリー」はやっぱり弱い気がします。グリザベラの中から溢れてくる「光」の
イメージが足らなかったかなぁ。
純粋な子猫のシラバブが惹かれたグリザベラの魅力がイマイチ見えないっていうか。

立ち去ろうとするグリザベラに触れるシラバブの想いは「仲良くしましょう。一緒に
輪に入って」じゃなくて、「私は『貴女』が素敵だと思う」という触れ合いで見た
かったのさ。今回の「CATS」では皆が受け入れる姿も「寂しかったんだね。ごめん
ね」みたいに見えてしまったのです。
↑も悪くはないですけどね。最後の「猫の求める唯一の名前」が今までとは違う名前
が頭に浮びました。

こんな事を書くと「くづきさん、『CATS』面白くなったんですね」とまた言われそう
なんで、ちゃんと言います。

面白かった!楽しかった!見終わると「幸せ」って気持ちになる!>

ただし、それはディズニーランドに行って感じる事に近いものだった、と。
後から思い出しても楽しいし、また行きたいなーとは思うよ。人にも薦める。
惜しいのがもう一歩深いところでの感動はあまりなかったってところ。残念。
今日のは背骨の宗教的な部分を薄めてエンターティメント色を強くしました風味。
なのでせっかくのグリザベラの物語が弱くなっちゃったような感じなのです。


四季の「CATS」はカテコで猫達が客席に降りてきて握手をしてくれるのがちょっと
嬉しい。仲良くなった野良猫が触らせてくれるみたいな感じだよね。
くづきたちの席にはジェリーロラムが来てくれた〜!!!
近くで見ると猫メイクなのに可愛いなぁ。

くづきの席の2つ前。回転席後ろ通路に面した席に小さい女の子がママと一緒に並ん
で観劇。最初の「Naming of cats」で猫達が前を通った時は隣のママに「恐いよ〜」って
感じでしがみついていたのに、スキンブルシャンクスの頃にはめちゃめちゃ
楽しそうに手拍子してて可愛かった!
カテコではジェリーロラムとタガーに握手してもらってニコニコしてたし。
ああ、こういうのはいいよね。

帰り道ではモン子ちゃんもKさんも満足。
モン子ちゃんは「オヤジなタガー最高っ!マキャビティがデカっ!」。
Kさん「面白かったなぁ。演出も曲も良く出来てるなぁ・・・あの茶色い猫(タント
ミール)がキ○肉マンの『ガゼルマン』に見えちゃってまいった(笑)。」
Kさんは最近舞台にハマりつつあるので、勢いで3月の「オペラ座の怪人」にも行く
こと決定。ニヤリ。

そしてKさん爆弾発言。
(↓結構キツイ一言なので純粋なCATSファンの方は御注意!)

「なんかさぁ・・・言ってる事は判るんだけど、あの可哀想な娼婦猫を皆で上手い事
言って処分したようにも見えちゃうな。新しい命っていうけど、要は天国逝っちゃうって
事だもんなぁ」


・・・それ、言っちゃダメです!


2005年01月11日(火)
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