天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

うそ - 2001年05月01日(火)

シティから公衆電話で電話した。約束の日本の朝8時。トロントの友人が来ていて、一年ぶりの再会をしてた。レストランで食事の注文をしてから、「ごめん、ちょっと電話かけるとこあるから」、そう言って外に出て公衆電話を探す。

「もしもし? もしもし? 聞こえる? あたし。」
「聞こえるよ。」
「今ね、外からかけてるの。聞こえる?」

雑音がひどくて聞き取りにくい。でもあの人にはちゃんと聞こえてるみたい。

「外なの? まだ仕事なの?」
「ううん。今デート中。これからごはん食べるの。」
「デートって・・・誰、相手?」
「ふふ。このあいだの人じゃないよ。」

先週の日曜日にはボストンに引っ越した友人が泊まりに来てた。今日はこれから人が泊まりにくるんだ。 人って誰? あなたの知らない人よ。あたしもよく知らないんだけどね。 何それ? 男? そうよ、男。 アメリカ人? 日本人? アメリカ人だよ。・・・泊まるって、どういうこと? 男が泊まりに来るの、そういうこと。・・・。怒らないの? ・・・怒るよ。なんでそんなことするの? だって淋しいんだもん。どんなだったかちゃんと報告してあげるから、じゃね。

それからもそのままよく知らない男が泊まりにきたことにしている。僕のせい? 何が? きみがそんなことするの・・・。あの人は淋しそうにそう言ってた。

「またそんなこと・・・。」
「今日は泊まってくるかもしれない。」
「・・・。」
「怒らないの?」
「怒ってるよ。」
「あなたがだめって言ったら泊まらない。」
「だめに決まってるじゃないか。怒るよ。」
「じゃあ、泊まらない。朝までには帰るようにする。」
「おんなじことだろ?」
「ねえ、もう行かなきゃ。彼待ってるから。あなたの明日の夜、電話していい? 話したいことがいっぱいあるの。」
「何、話したいことって? 仕返しに、わたしも結婚する、なんて言うんじゃないだろうね。」
そんなわけないじゃない。わたし、まだ戸籍上は結婚してるんだよ。
「ちがうよ。仕返しだなんて・・・。イヤなの? もしあたしが結婚したら。」
「イヤだよ。」
「ずるいよ、そんなの。」
「・・・。」
話したいことがいっぱいある、は、いっぱい話がしたい、の間違い。だってこんなに苦しくて悲しくて淋しいのに、最近あなたはずっと仕事が忙しくてゆっくり話せないんだもの。でも訂正しなかった。心配かけちゃうの。
「じゃあ明日電話するから。ね。」

トロントの友人もボストンの友人ももちろん女の子。バカみたい、そんな嘘ついて。でも明るく話せるの、そういう嘘つくと。あなたに心配してほしいの。あなたに怒ってほしいの。ごめんね。ほんとにバカだよね。でもね、いつか「あれはみんな嘘だよ」ってちゃんと話すから。



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