天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

会いたい理由があるとき - 2001年07月11日(水)

朝早く電話で起こされて、病院の人事部に雇用の手続きをしに行った。
何十ページもあるいろんな書類の束に記入事項を書き込んで、名前を書いてサインして。半分まで終わったところでもう読む気がしなくなった。そして、ほんとにいいのかなあ、ってまた不安になった。昨日弁護士さんに会って納得したはずだったのに。最後の何ページかは飛ばし読みして適当に記入したら、抜けてるところがいっぱいあって、結局ちゃんと読み直して記入し直し。その上待たされた待たされて、3時間以上かかった。健康診断の日時も決められて、ますます「ほんとにいいのかなあ」って思ってしまう。

うちに着いたらぐったりして、ベッドでうとうとしてると、また電話。別の問題が出てきたらしい。明日はガバメントのオフィスに行って、あることを申請しなくちゃならない。それは簡単に片づく問題ではあるんだけど。

普段は忘れてるのに、こういうことがあると「あーわたし、ここで生まれた人じゃないんだもんねー」ってつくづく思う。そういうことってずっと何かがある都度、感じなきゃいけない。10年住んでたって、ここで生まれた10歳の子どもほどもいろんなことを体得出来てない。

法的にではなくて、人種としてわたしはアメリカ人じゃない。当たり前だけど。でも日本人からも遠くなってる。紛れもなく日本人なのに。そう言えば夫がよく「自分が何人なのかわからなくなってしまう。どっちの国にも属してないんだって思うと中途半端で虚しくなる」って言ってた。「アイデンティティの喪失」。それで精神の病いを引き起こす人も少なくない。わたしはずっと平気だったけど。でもこの街に来てから、ひとりなってから、時々ものすごい孤独感とか疎外感に襲われたりする。感じさせられてるわけじゃなくて、自分で勝手に感じてる。自分で選んだことなのに。「ナニジンでもいいじゃん」って友だちは言う。うん。ナニジンでもいいんだ。そんなの普段は関係ない。ただ「どこにも属してない」って感覚がちょっとわかるようになったの。


こういうときには、一番そばにいて欲しい人にそばにいて欲しい。

今日はいつもより電話が遅いなあって思ってたら、「ぎりぎりになっちゃって今からもう出るとこなんだ」ってかかってきた。「弁護士さんと話して、どうなった?」って聞いてくれて、時間がないから結論だけ話した。ちゃんとゆっくり聞いて欲しかったけど。

わたしがいつも、ただ会いたくて会いたくて、会いたい会いたいって泣いてると思ってるでしょう? ちゃんと理由があって会いたい時だってあるんだよ。理由があって会いたいときは、会えないことが歯痒すぎる。胸が掻きむしられる。惨めにさえなる。どうしてどうしてわたしだけ、こういう時にさえ会えないの? 

あなたが仕事の帰りの電車から降りてくるのを、駅で待っていたい。わたしを見つけてちょっと驚いた顔して、それから微笑んでそばに来て、「どうしたの?」ってわたしの頭に手をおいてあの心配するときの顔見せて欲しい。

彼女はきっと、普段は忘れてるんだろうな。そして時々「ああ、わたしはこの人のものなんだ」って確認できることがあるの。わたしも忘れてるときがある、「わたしはあの人のものじゃないんだ」って。そしてそれを確認しなきゃいけないときがある。

We belong to you and me. ビージーズの「愛はきらめきの中に」で覚えた言葉。トラボルタが好きなあの人はサタデーナイトフィーバーが大のお気に入り。わたしもあの映画のあの歌のあの言葉が好きなんだって話したよね。初めて会ったときだった。よくわかんないって顔してたけど、今ならわかる? お互いがお互いのものだと思えて安心できる気持ち。

わたしは誰かにさえ属してない。

会いたいよ。


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