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神さま - 2001年07月29日(日) A.I.を観に行こうと思ったら、近所の映画館のサインボードからタイトルが消えていた。代わりに Americaユs Sweethearts が入ってる。ジュリア・ロバーツの新しいやつ。楽しみにしてたのに、火曜日からやってたことすっかり忘れてた。でもなんで A.I. 終わっちゃったんだろう。そんなに不評だった? ネットで確かめようとしたら、繋がらない。電話すると、ケーブルの工事が影響しててインターネットはしばらくアクセスできないという。 Americaユs Sweethearts のスケジュールも調べられないから、結局映画はやめにした。窓からサインボードが見えるほど映画館は近いんだから、スケジュールくらい見に行けばいいんだけど。 それで勉強の続きをする。ちょっと焦ってる。映画はやっぱり今度の週末にしよう。いつまでたっても苦手な肝臓疾患。深すぎるというより、広すぎる。 夕方、ちょっと休憩してたら電話が鳴る。日本は朝の6時? 夜中に会社から電話があって、7時に来てくれって言われたらしい。駅までの道を歩きながら電話してくれる。「覚えてないだろ、この道」「覚えてるよー。あなたんちからずーっと坂下りて、左に曲がってまっすぐ行ったら駅。でしょ?」「覚えてるじゃん」「当たり前じゃん」。 あの時、あの人の曲の、どういうところが好きかなんて話をしてた。「終わり方が一番好きかな。中途半端みたいだったり、小節の途中で終わったり。なんかどきっとする」「ほんと? ちゃんと聴いてくれてるんだ」「そうだよ。細かく聴いてるでしょ?」「そんなふうに聴いてくれる人、ほかにいないよ、きっと」「頑張ってね。ほんとに好きよ、あなたの曲。ずっと応援する。死ぬまで応援してあげる」。 「きみも頑張るんだよ」「頑張れるかなあ、あたし、ひとりで」「ダメだよ、ぼくも頑張るんだから」。 覚えてないでしょ? そんな話してたこと。 駅であの人はたばこを買った。わたしとおんなじブランドの、パッケージが色違いの。おんなじたばこ吸ってるんだーって笑ったね、初めて会った日。 各駅停車に一緒に乗って、次の駅で一緒に降りた。ライブの打ち合わせに行くためにあの人はそこで駅を出る。「このあとに快速が来るから、きみはそれに乗るんだよ」。子どもに言うみたいに言って、高く上げた手を振りながら人込みに消えて行った。4日目で、最後のデートになった日。 「今度さ、おもしろいメール送るよ。」 「なになに?」 「知能指数テスト。あと5問、今日作ろうと思ってるんだ。」 「なにそれ? 自分で作ってんの?」 「そうだよ。僕のメールってつまんないからさー、ちょっと凝ってみようと思って。」 つまんないって? あの超短文で数行の? わかってるんじゃん。でもつまんなくないのに。がっかりはするけど。 「忙しくって大変なのに、そんなことしてて平気なの?」 「思いついたら、おもしろくてさ。きみだけの IQ を知るためのテストだよ。」 電車一本見送ったって言いながら、わたし用 IQ テストの解答の仕方を説明してる。 よくわかんないけど、楽しみにしてよ。「水曜日の朝、電話するね」。そう言って、駅にいるのにおっきな音のキスをくれる。それから「きみは?」って言った。 神さま 消しゴムで消してください。 わたしがあの人にぶつけた嫉妬を。 あのとき止められなかったみっともない言葉を。 あの人のなかの醜いわたしを。 あの人が遠ざかったあの時間を。 あの人に百万回分の「ごめんなさい」を送ります。 ありったけの「ありがとう」を伝えます。 -
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