天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

刑務所病棟 - 2001年08月02日(木)

刑務所病棟が好き。
刑務所に入ってるうちに病気になっちゃったり、
病気を抱えてる人が犯罪おかして刑務所に入れられたり、
そういう患者さんが入院するところ。
入院しながら、必要があれば外来にも行ける。

インターンしてた病院にもあった。
病室は、広いお部屋の真ん中にぽつんとベッドがあって、
剥きだしのトイレがついてて、
うんと高い天井に限りなく近いところに鉄格子のついたちっちゃな窓があって、
患者さんを診に行くときには警官がふたりついてきて、
後ろ手に銃を隠して用意して、ドアのところで待っている。

今の病院には大きなラウンジがあって、
患者さんは自由に出入りできる。
カウンセリングするときは、ラウンジで話す。
ラウンジには3、4人の警官が常備してる。

病棟の入り口は二重にセキュリティガードされてて、
ブザーを押して ID を見せて、またその先で ID を見せて、
やっとナースステーションにもラウンジにも入れる。

刑務所だからセキュリティが厳重なのは当然だけど、
いいな、と思うのは、警官の人たちが決して威圧的じゃないところ。

そういうシステムが確立されてるっていうのが好き。
誰にでも、病気を治してもらう権利はあるものね。
人の権利がごく当たり前に守られてる。

患者さんが外来病棟に行くときには、
手錠をかけられて、複数の警官に連れられて、広い病院の中を歩く。
でも誰もじろじろ見たり、怖がって避けたりしない。

権利がごく当たり前に守られてることが、誰にとっても当たり前みたい。
そういうことがすごいなあって思うのは、
それが当たり前じゃないところで育ったせいだろうな。

昨日は乳癌でキモセラピーを受けてる患者さんを診た。
今日はエイズでどんどん痩せてく患者さんを診た。
ジョーク言い合ったりもして、なんか楽しかった。
乳癌の彼女は、帰るときに「バ〜イ」って笑いながら、遠くから手を振ってくれた。
エイズの彼女は、カウンセリングが終わると「え? なんだ、もうお終いなの?」っておどけて言った。

患者さんと話をするのは、どの病棟でも仕事の一番好きなパートだけど、
刑務所病棟の彼女たちは、なんだかとっても嬉しい気分にしてくれた。


みんな、弱くて淋しいんだよね。
だけど病気を受け入れて、それと闘って生きてるってほんとに強いと思う。



こんなに優しい気持ちになれた日にいっぱい話ができないなんて、もったいないなあ。




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