天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

ひとりでなんか - 2001年12月13日(木)

夜のクリスマスパーティのせいで、今日は仕事中ずっとウキウキ。
足の痛みは殆どなくなって、わたしって結構頑丈に出来てるんだなあって感心した。でも、ベルベットの膝丈ドレスに合わせて履いた、4インチヒールのパンプスが痛い。ちょっと細身だから、あひるみたいなわたしの足を締めつける。

あんまり痛くなってナースステーションで靴脱いでたら、ミズ・ベンジャミンに言われた。「アンタ、ちっちゃいねえ。痛くても靴履いてなさい」。裸足で背伸びして抱きついてたあの胸を、また思い出してた。

朝、ネイルの下地を塗りながら電話待ってたけど、やっぱりかかってこなかった。明日かけてくれたときに、昨日のこといっぱい謝ろう。早く謝りたいよ。

お昼休みにオフィスで真っ赤なマニキュアを塗った。爪が長すぎて真っ赤っかはちょっとケバいかなって思ったけど、みんながいい色って誉めてくれた。「魔女みたいじゃない?」って聞いたら「全然。セクシー、セクシー」って言うから、ふざけて口をすぼめてウィンクしながら、指を順番に折るカモンのポーズをしてみせる。やっぱ、この色ならもう少し爪短い方がいいかもね。あの人に見せてあげたい。娼婦みたいなおいでおいでをしてあげる。知らないけどさ、そんなことするかどうか。「口紅ももちろんおんなじ色にするんでしょ?」ってドーリーンが言う。ふふふ。仕事用にラズベリー色をつけてたけど、バッグの中にちゃんと真っ赤な口紅忍ばせてる。

チャイニーズの Dr. チェンが「パーティー、どうやって行くの?」って聞くから、察して「乗っけてってあげるよ、綺麗な車じゃなくてよかったら」って言ってあげる。

車の中で、おしゃべりが楽しかった。Dr. チェンは80ユs の音楽が好きで、わたしの知らないバンドの名前をいっぱい教えてくれた。デュランデュランも好きだって言ってた。思い出す。あれはアパートから車で一緒に病院に行ったときだっけ。イントロの初めのとこ聴いただけで、「デュランデュランだね」ってドクターが言ってドキッとしたこと。あの人の大好きなデュランデュラン。


パーティは DJ も選曲もイマイチだったけど、踊りまくった。踊ってる間に、パンプスの痛みも消えちゃった。踊るのやめたらじんじん痛くなったから、裸足になって、また踊りまくった。ふざけたダンスもしたりして、笑いまくった。久しぶりに聴いた Alice Deejay の「Better off alone」は大声で歌いながら踊ってた。

帰りも Dr. チェンをうちまで送ってあげた。ドクターのアパートから10ブロックしか離れてないとこだった。「帰りの高速乗るとこわかる?」って聞かれて、「うん、この辺ならよくわかるの」って答えた。あっちの病院のドクター用のアパート、この近くでしょ? わたし、そこに住んでる人と少しの間デートしてたんだ。ふられちゃったけどね。きっと知ってるよ、その人。「誰?」って聞くから名字に Dr. をつけて言ってみる。 Dr. チェンは言った。ああ、Ken ? Ken か。彼ならよく知ってるよ。あっちの病院の循環器病棟で一ヶ月一緒に仕事した。いいやつだよ、すごく。今でも時々電話で話す。ほんとにいいやつだよ、あいつは。そうか。残念だなあ。終わっちゃったのか。「ほんと? ほんとにいいヤツって思う?」「うん、いい男だよ」「よかった。ソレ聞いて、嬉しい。よかった」。

ほんとに嬉しかった。やっぱりいいやつなんだ。よかった。こんなふうに、いいやつって聞けて。嬉しくて、何度も「よかった」って言ってた。涙が出そうだった。

高速の入り口まで、なつかしい道を走る。対向車線をくぎって道路の中央に立ち並ぶ低い木が、白い光で飾られてまぶしかった。この道、こんなふうになるんだ。素敵だね。思い出にないクリスマスのイリュミネーション。

デュランデュランをかけながら、あの高速を走る。止めたらいつものステーションからまた Better off alone が流れてきた。 Do you think youユre better off alone?  ひとりで生きてく方がいいの? ほんとにひとりの方がラクなの? 出来るかな。出来ないよね。ひとりの方がラクだなんて、思ってない。

真っ暗なアパートに電気をつけて、足元にじゃれつくチビたちに「ただいま」を言う。
あの人に電話したい。「おかえり。楽しかった?」って、声で抱きしめてほしい。


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