天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

a New Year's wish - 2002年01月01日(火)

結局パーティの予定はないまま、ジェニーとジェニーの友だちと3人でダウンタウンに繰り出した。お目当てのアイリッシュバーのドアを開けたら、お客さんは男ばっか。慌ててドアを閉めて、ほかを探す。まだ7時前。まだ7時前なのにもう凍えるみたいに寒い。鼻を真っ赤にしたジェニーが「病気になりそう」って言うから、目の前のバーに飛び込んだ。

「来年はさあ、もっとちゃんと計画しようね」「来年は男と過ごしたいよ」「パーティなんか行かなくったって、一緒にいられる人がいればそれだけでいいよなあ」「うん。友だちといるのとはワケが違う」「悪かったね。じゃあ来年の計画はさ、最悪の事態に備えて」「一日1ドル貯金をしよう。最悪の事態に備えて」「一人365ドルか。どこに行きたい?」「男と使う。最悪の事態に備えたお金」「だからさあ、それが出来ない場合に備えるんだってば」。わたしは来年、どこにいるのかなあ。日本じゃないことは確かだけど、前のところには戻れなくなるかもしれない。日本よりもわたしのホームタウンなのに。「なるようになれ!」って思って来たけど、ちょっと深刻になりつつある。男よりも深刻な問題。

カクテルとフィンガーフードで1時間ほどおしゃべりして、追い出されるみたいにバーを出た。待ってる人がいっぱいいる。

ジェニーの友だちをうちまで送って、わたしはジェニーの家に行く。ジェニーの家族に迎えられて、また家族のひとりになりすます。シャンパンで乾杯しておいしいお料理をたくさんごちそうになって、いっぱいおしゃべりして、こんなにくつろいでていいんだろうかって思うほどくつろいでる。特技 - よそんちの子になること。・・・なんて、あんまり自慢にならないね。


ジェニーのお父さんとお母さんは、25年前に小さな子どもたちを置いてここにふたりでやって来て、事業を始めて休みもなく毎日毎日働いて、ようやく落ち着いてから大きくなった子どもたちを呼んだらしい。こういう話はよく聞く。ここに来たら夢が叶うと思ってる人がたくさんいるけど、夢を叶えるための努力と、苦労と、少しの悲しみを知ってる人だけに夢が叶うことを、誰もはわかってない。

簡単なことじゃないよね、生きてくってことは。簡単にしちゃえば、もうそこにとどまるしかない。あきらめてしまえば、もう後戻りするしかない。ふたりで頑張るはずだったのに、途中下車したのは夫。わたしは後戻りだけはしたくなかった。とどまることも嫌だった。

ホームタウン失くしても、もういいやってちょっと思った。ここをホームタウンにしちゃえって。頑張ろ、ひとりでも。楽しいことも結構あるもん。


テレビでタイムズスクエアのカウントダウンを見る。ベッドルームに姿を消してたお父さんとお母さんも出てきて、シャンパンがなくなっちゃったからワインで乾杯。画面に溢れるハッピーニューイヤーのキス。ちょっとだけ悲しい瞬間。ドクターもどこかで誰かにキスをしてる。日本は元旦のお昼過ぎで、あの人は彼女と会うって言ってた。わたしは目を閉じて、見えないキスをあの人に送る。「ハッピーニューイヤー。・・・聞こえた?」。New Yearユs wish はねえ、「あなたがまだ結婚しませんように」。

真夜中の高速はもうあまり混んでなかったけど、みんなスピードを出さずに走ってた。流れに乗って、ゆっくり帰る。


あの人の「おめでとう」の電話で目が覚めた。
ぐちゃぐちゃになったシーツの下で、パッドとマットレスカバーまでぐちゃぐちゃにまるまってる。どんな夢見てたんだろ。覚えてない。

今日はお掃除をしよう。
ホリデーシーズンはおしまい。
明日から、普通の日常が始まる。


ほんとの New Yearユs wish はね、「あなたに会えますように」。





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