糸がほどける音が聞こえた - 2002年01月24日(木) 新しいCDの曲、全部聴かせてくれた。 ゆうべスタジオに缶詰になって、途中からふざけてみんなで創って録ったっていう曲も聴かせてくれた。「楽しかったー。こうやって遊んで曲創るのが一番楽しいな」「うん、おもしろい。今のよかった。それも欲しいなあ」。楽しんで創ってるのが、わかった。緊張しないで聴けた。それは遊びだから一枚しかCD作らないって言いながら、じゃあ、きみにあげる分だけ特別バージョンにしてこの曲も入れてあげるよって言ってくれた。すごいー。特別バージョンのCD、わたしに作ってくれるなんて。 もうすぐ大きなライブがあるらしい。 「そういうのって、彼女も来るの?」 なんて、わかってて、また聞かなくていいこと聞いてる。 「どうかなあ。この前のときも来なかったし。」 「来て欲しい?」 「う〜ん。来て欲しいって言えば来て欲しいけど。興味ないみたいだからさ、ライブとか。」 前にも言ってた。仕事のことは全然応援してくれないって。それでも、そんなこと関係なく、彼女を愛してる。 「いいなあ。彼女はいいな。」 「なんでさ。きみには見て欲しいんだよ。ビデオ録ったら送るよ。きみに見て欲しい。」 嬉しいけど、ちょっと悲しい。見たら会いたくなっちゃうよ。会えないのが辛くなっちゃうよ。 彼女の存在ってのがなんとなくわかる。友だちみたいな恋人。お互いに全然違う好きなことがあって、それぞれに自分の生活が忙しくって、いつもいつも会ってるわけじゃないけど、いちいち確かめあわなくてもお互いに大切でかけがえのないことが当たり前の存在。会えば愛おしさが溢れる相手。会うたびにほっと出来る人。 「そこでライブしたいなあ」って言う。 「出来るよ。ほんとにするなら、お手伝いしてあげる。」 「ほんとー? そんなこと出来る?」 出来るよ。自分の夢を信じて追い続けて、自分の力を信じてがむしゃらに頑張って、自分を信じていつも前向きで進行形な人。ここは、そういう人の夢なら叶えてくれるとこなんだよ。出来るよ。するよ。わたしは何にも知らないけど、一からだってあなたのためならなんだってする。出来るんだよ。したいよ。あなたの夢を一緒に追いかけたい。 「当ったり前じゃん。あたしが今まで、あなたのために何かしてあげなかったことがある?」。 あの人は黙ってた。 ちょっと押しつけがましかったかな。別に何もしてないや。でも、気持ちだけはそうなんだから。 自分のことでシンドイのは苦しいけど、あの人の夢のためにシンドイことなんてきっとちっとも苦なんかじゃない。わたし、頑張るよ。あなたのためなら。でも、自分のことまずちゃんとしなきゃね。ひとつは片づいたけど、まだまだある。 昨日、病院のHRにかけあって来た。 弁護士料があんまり高いから、自分でやっちゃえって。このあいだディレクターにこわごわ相談したら、「だから採用の面接のときに聞いたでしょ? 大丈夫って言ってたじゃない」「あのときはそう思ってたんです。でも違うってことがわかっちゃって」。初めからわかってたけど、嘘ついた。 HRのエライ人は、とても感じのいい人だった。 「あなたのボスから聞きました。とても熱心なよく出来るスタッフだから、手放したくない、なんとかいい方向に持って行って欲しい、って。実力のわからない人を初めからサポートすることは出来ないけど、あなたはここで半年頑張って、ちゃんと評価された人。そういう人は喜んでサポートしたい」。 びっくりした。ものすごく嬉しかった。採用の時に何も言わないで正解だったみたい。ディレクターがそんなこと言ってくれてたなんて、思ってなかった。頑張って来てよかった。わたし、頑張った。よね。 でもこれで、もうきっと前のところには戻れなくなる。まあいいか。取りあえず、今が大事。これからまだまだ法的な手続きがある。こればかりは弁護士さん雇わなきゃ。 ひとつずつ、ひとつずつ、絡んだ糸をほどいてく。 「先のことは考えないで、常に次のステップを考えること」。あの弁護士さんが前に言ってたっけ。 あの人見習って、自分の夢を信じ続けよう。今を一生懸命生きていよう。 糸がするりとほどける音が聞こえたよ。 まだまだ先はあるけどね。 わたしの糸がもう少し上手くほどけたら、あなたの糸を一緒にほどいてあげる。 あなたの夢は、わたしの夢だからね。 -
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