ずっと伝えたかったこと - 2002年03月29日(金) ここは桜が咲くどころか、桜の木さえないところです。 桜のお花見は植物園に行くんだよ。サイテー。 去年行ったけどさ、日本語で「桜祭り」とかって入り口のとこに書いてあんの。サイテー。 お花が咲かないかわいそうな都会です。 花も咲かないような街が、なんで世界の中心地なんて言えるんだか。 それでもアパートの窓の下に、たんぽぽと水仙がやっと咲きました。 あの街は3月の初めから4月の終わりまで、いろんな種類の桜が順番にずうっと咲き続けるの。 もう街中、至るところだよ。色も形も大きさも全然違うのが、ほんっと次々と咲き乱れるの。涙が出るくらい綺麗。車や道路に花びらが雪みたいに積もるんだ。都会の中でだよ。「お花見」なんてのない。だって毎日がお花見だもん。 来週の週末にはそれが見られる。街中に溢れる木蓮もサルスベリもはなみずきも見られる。 そうそう、チケット見つかったしね。 子どもがいるから離婚出来ないってよく聞くじゃない? 子どもの幸せ考えたらって。 だけどさ、思うんだよね。 じゃあ子どもがいるのに離婚した人は子どもの幸せ考えてないのかって。 考えてるよね。ものすごく考えてるよね。それでも離婚しなきゃいけないから離婚するんだよね。だからよけいに、離婚を考え始めたときも離婚するときもしたあとも、めちゃくちゃ苦しいんだよね。 自分を守ってくれる親が幸せなことが、子どもにとって幸せなんじゃないの? 両親が別々のとこにいたって、自分にはたったひとりずつしかお父さんとお母さんはいなくて、それぞれが幸せでいてくれれば、子どもは幸せになれるんじゃないの? わたし、上手くいってないくせに仲のいい夫婦装ってるような両親に育てられて、「家族の大切さ」とかってわざわざ言葉にしなきゃそれを教えられないような父親に毎年白々しい家族旅行に連れて行かれて、嫌で嫌でみじめで恥ずかしくて、離婚したらいいのにって子どものときから思ってた。 それからわたしは早く結婚してうち出たいって思うようになったけど、妹なんかそんな両親見てるのが我慢出来なくて、中学のときに家出しちゃっておかしくなった。 「子どもの幸せ考えてない親がどこにいる」「家族の繋がりより大事なものがほかにあるか」ってほざいてた父親がさ、妹をめちゃくちゃにして今じゃほったらかしだよ。 わたしね、親が離婚してても幸せな子どもたちいっぱい知ってるよ。 一緒に暮らしてるお母さんに恋人がいて、その人は「ママのボーイフレンド」で、自分を大事にしてくれる大きな友だちで、週末には遠くにいるお父さんに嬉しそうに会いにいって、そこにはお父さんと新しい奥さんの子どもがいて、「あたしのステップシスターがね」って帰ってきたら話してくれて。ってそういうの。 ここじゃそんなの普通だけどさ、ここだからそうなんだって思う? そりゃあそういうのも確かにあるけど、その子たちだって両親が離婚したときはものすごく傷ついたし寂しかったんだよ。でも、子どもだってちゃんと乗り越えられるんだって思った。お母さんもお父さんもふたりが一緒にいたときより幸せなのを、子ども心にちゃんと感じ取るからじゃない? 何が言いたかったのかっていうとね、いつも思ってたことなんだけどね、 貴女が想っちゃったような、そんな幸せが来ることを、わたしは信じてるってこと。 今貴女が暮らしてる場所の、キッチンに彼が当たり前のように立ってお料理してたり、リビングルームのソファに彼が当たり前のように座って笑ってたり。 そんな彼に貴女の子どもたちが、貴女に言えないこと相談しに行ったりしてさ。 そうだなあ、何て呼ぶのかなあ。「おにいちゃん」? 「おじさん」? わたしとしては、貴女が彼を呼ぶのとおんなじに呼ぶのがいいな。 「子どもたちまでは抱えられないよ」って言ってた彼だけど、今は違うような気がする。 それにさ、抱えようとしなくたっていいじゃん。 だってお父さんになんか、どうしたってなれないんだから。 貴女が彼と結婚したってさ、お父さんじゃなくたって当たり前じゃん。 お父さんは別のとこに、たったひとりしかいないんだもの。 「お母さんの恋人」が「僕たちのステップファーザー」になって、「新しいお父さん」なんかじゃないんだよ。それでいいじゃん。それが素敵じゃん。 貴女なら子どもたちをそんなふうに幸せにしてあげられるよ。彼と一緒に。 日本じゃそんなの無理? そんなことないよ。誰かが始めてそういうのが増えたら、そのうちそれが普通になるんだって。日本ってそういうとこじゃない? そしたらほかの貴女みたいな人、みんな幸せになれるんだよ。 始めちゃえ。それで、「わたしが第一人者です」って自慢しちゃえ。 だめなの? わたしっておかしい? わたしのこと、いつも心配してくれてありがとうね。 このあいだからさ、短い電話のたんびに「キライ」とか「バカ」とか「あたし、キスなんかしてやんない」とか言って切ってやってたんだけどさ、 昨日また言っちゃったよ。「大好きよ」って。 貴女のせいだよ。 そういうわけで、貴女にどうしても伝えたくなったのです。 バースデーのプレゼント、彼喜んでくれましたか? ちょっと遅いけど、わたしからもおめでとうって伝えてください。 これ、一応手紙のつもりです。 かしこ -
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