痛み - 2002年06月18日(火) 朝お手洗いに行ったら、立てなくなるほどおなかが痛くなった。 そのうち足が痺れてきて、座ってるのも苦しくなった。 あぶら汗がにじみ出てくる。 吐きそうになる。 吐いたらまたそのまま胃痙攣が起こると思って、トイレの上で体を二つ折りにして、ハァハァ息をしながら我慢した。 ようやくベッドまで体を引きずって、まる虫みたいになって突っ伏しながら、癌だったらホスピスに行きたいって思ってた。 ちょっと楽になったから、仕事に出掛けた。気温は高いのに、寒くて寒くて震えながら運転する。頭がガンガンしてきて風邪かなって思ったけど、もしも癌だったら病院のホスピス病棟に入れてもらおうって、また考えてた。 そしたらどんなことがあっても、その時だけはあの人に来てもらおう。 お花をたくさん買って来てもらって、ずっと手を繋いでもらっていよう。 それからいろんな話をいっぱいして、たくさん笑って。 「ねえ、電話のキスしてみて」って言って、「ふうん、そんな顔してしてたのか」って笑って。 「2年見ないあいだに、ずいぶん大きくなったねぇ」って笑って。 病院の不味いディカフェのコーヒーを一緒に飲んで、「不味いでしょ?」って笑って。 あの人に歌もうたってもらおう。 キモセラピーも RTX も拒否して、笑っていられるようにモルヒネ漬けにしてもらおう。 死ななきゃいけないなら、死ぬのなんか恐くもイヤでもない。あの娘に会えるって笑ったら、あの人もきっと笑っててくれる。 仕事しながらふと気がついた。 生理が始まるんだ。 毎回生理痛の種類が違うから、わかんない。 それで、またしょうもないこと空想してたんだ。 夕方、きっちり始まった。 帰り際、アニーがケーキをくれる。昨日あんなに怒ってたのに。 昨日。ドクターと会ったこと言ったら、すごい怒られちゃった。 「で、何したの?」って聞くから「ごはん食べた」って言ったけど、バレてた。 「LA に引っ越す前に、アンタのプシーがもう一回欲しくなったんだよ、バカ男。ノコノコ会いに行くアンタはもっとバカ」。「プシー」だって。憎しみ込めて言ってた。口が悪いったらないんだから。でもアニー大正解。バカ男と大バカ女なの。 「アンタがイイからね」「そうよ、あたしってすっごくイイの」。カラカラ笑って答えた。アニーは怒ったまんまだった。「で、この次はいつ会うの?」「もう会わないよ。もうすぐ行っちゃうもん」。もうパンティーも返してくれないんだろうな。 アニーに怒られたら、なんか嬉しい。お気に入りのパンティーも諦めがつく。 あの人は親不知を抜きに行った。横向きに生えて隣りの虫歯の根っこを圧迫してややこしくなってたところを治して、やっと抜ける状態になったから。さっき、麻酔が切れたって半分泣きながら電話してきた。これからまた歯医者に行ってくるって。 このごろ毎日電話をくれる。わたし、理由を知ってる。 代わってあげるよ。その痛み、全部わたしがもらってあげる。 だから痛いわたしを抱きしめて。抱きしめて痛みを和らげて。 電話じゃなくて、その腕で抱きしめて。 -
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