守護天使 - 2002年06月29日(土) 駐車場に車を置いてアパートの窓を見ると、必ずチビたちが窓辺に座ってる。 玄関に回ったら、もうドアのすぐ向こうでミャアミャア鳴いて迎えてくれてる。 かわいいなあ。かわいい。 ネコは飼い主が帰って来るのが30分前からわかるらしい。 ネコに聞いたはずがないのに誰が言い始めたのか知らないけど、聞いたことがある。 30分前ってのはどうだかわかんないけど、確かに帰って来るのを分かってて待ってくれてるような気がする。 「アパート探してるんだけど、どっかいいとこ知らない?」ってみんなに聞きまくってたら、ホスピタルポリスのオフィサーが自分ちの裏に2ベッドルームの家を持ってて、今住んでる人が今月出て行くから格安で貸してくれるって言った。 住みたいとことは反対方向だし、閑静な住宅地には住みたくないしなって思ったけど、光熱費も水道代も家賃に込みだって言うからちょっと心が動いた。 でもこの人危ない。 昨日わたしの病棟のローテーションでライカーの刑務所からの患者さん監視してて、患者さん診に病室に行ったとき「Hi」って挙げたわたしの手、握った。 ジョークならいいけどジョークじゃない視線が恐かった。 前から視線がコワクてやだなって思ってたけど、アパートの相談なんかして誤解された? ポリスオフィサーの裏の家なら安全間違いないって思ってたら、ジェニーに「絶対やめな」って言われた。オフィサーなんだから盗聴器だって隠しカメラだって簡単に取り付けられるんだよ、って。あり得る。そのくらいなんか危ないかもしれない。 「アンタには見えないガーディアンがついてるような気がする」っていつもジェニーが言う。すっごく危なっかしいのに、ガーディアンに守られてるから今まで危険を回避してこられたんだって。 そうかもしれない。危なっかしいんだ。26歳のジェニーにだって考えつくこと、わたしにはわかってなかった。でもガーディアンなら、あの娘に決まってるよ、わたしのガーディアン・エンジェル。あの娘がジェニーに「やめな」って言わせてくれたのかもしれない。 デイジーのいるあの家のアパートの窓はどんなだっけって思う。 チビたちが窓辺に座って外を眺められるくらいに、ウィンドシルが広かったかな。 そうだよ。チビたちの命は短いの。 だから生きてるあいだ、うんと幸せでいさせてやりたい。 赤ちゃんのときにふたりして捨てられちゃったことなんか、なかったことに出来るくらいに幸せにしてやりたい。 かけがえのない小さな命を見送るすべならもう知ってる。 その日がいつか来ることも受け入れてる。 そしていつかチビたちも、わたしのガーディアン・エンジェルになってくれるんだよ。 だけどね、 あの人を見送る方法がわからない。 天国にじゃなくて、そうじゃなくて。 そうじゃないから。 天使のくせに、天国に戻らないから。 そのまま人間になって、人間と結婚してしまうから。 またわけわかんなくなってる、わたし。 -
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