天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

初めの一歩 - 2004年11月01日(月)

デイビッドのアパートから新しい病院に初出勤。
デイビッドはランチにベーグルとデザートにカノーリを持たせてくれた。

ゆうべ夜中にお散歩に行ったとき買ってくれたカノーリはアルミフォイルの箱の半分に遠慮がちに入ってて、箱の中でカノーリが動いて崩れるといけないからってデイビッドは箱を三角に折ってそれをまたアルミフォイルでくるんで輪ゴムで止めて、セサミのベーグルと一緒にスーパーマーケットのビニール袋に入れて。とんでもなく不細工な包みだったけどものすごく嬉しかった。かわいいランチバッグを買わなきゃなって思った。

「みんなが羨ましがるぞ」ってデイビッドは言ったけど、出勤第一日目の今日はひとりのオリエンテーションでお昼もひとりだったから誰にも見せられなかった。カフェテリアでスープとコーヒーを買って12階の広いラウンジの窓際に座って、ビニール袋を開けたら袋の底にハロウィーンのキャンディがふたつ入ってた。

12階の窓からはイースト・リバーが見渡せて、まるで病院が河の上に建ってるみたいで一体どうなってるんだろうって窓にへばりついて見下ろしたけどわかんなかった。


ひとりのオリエンテーションはたいくつで、でもメイン・オフィスに時々出入りする新しい同僚たちにひとりずつ初めて会って、みんなフレンドリーでいい人たちだと思った。ひとりを除いて。ああ、ふたりかもしれない。メイン・オフィスのセクレタリーのアウィルダはぶっ飛びそうな洋服を着ててものすごく陽気でちょっとお下品ぽくって、もう大好きになった。

おんなじタイトルのおんなじ仕事とはいえ、病院が変わればシステムもポリシーもプロシージャーも違うから、少しは緊張する。それでもインターンを終えて初めて就職した前の病院のときのような、怖さのくっついた緊張感はない。興奮もない。どこか冷めた目で周りを観察してた。にこにこしながら警戒もしてた。余計な期待もしないようにとストイシズムを保ってた。

でも、フロアに入って患者さんを診るとまた熱くなるに決まってる。それに、窓から見渡せるイースト・リバーを真ん中にしたあの風景にどきどきは抑えらない。新しい病院。新しい仕事場。新しい生活が始まった。


帰り道、地下鉄の駅に降りる手前で携帯が鳴った。
「どうだった?」って、デイビッドだった。

「うちに来る? 映画でも観に行く?」。そう言ってくれたけど、チビたちにとても会いたくて帰ることにした。明日はエレクション・デー。わたしには選挙権がないから、ただのお休み。デイビッドと、ハドソン・リバーの向こう側にハイキングに行くことになった。


今わたしにはデイビッドがいて、それからジーザスがいる。
デイビッドと過ごす時間は素敵になって、ダンスがあってピアノがあって、ひとりの時間をちゃんと上手に使えるようにもなった。だから大丈夫。しっかり初めの一歩を踏み出して、ゆっくり歩いて穏やかに進んでジーザスの光についてくよ。


うちに帰ってピアノを弾いたら、妹チビが横で一緒に鍵盤叩いた。



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