鍋をたたく...鍋男

 

 

tuning the Fantasticks - 2003年12月06日(土)

キュレップは小さな川のそばにある。
流れてんのか、あやしいくらい、のんびりとした流れ。
町なかの汚い川も少しずつきれいになってきて
お魚が泳いでるのが見えたりすると、ちょっとほっこり。

そんな話はどうでもよくて。


街の掲示板が川沿いにあって、
「今津フェスティバル
出演/ファンタスティックス
(スティールドラム)」
って書いてある。

あらあら、この町でやるんなら、うち呼んでくださいよ。
って思うのもつかの間。
考えたら全然営業してないからね。呼ばれないのも当たり前です。

で、見てきました。
神戸長田のバンド、ファンタスティックスの調律を担当する様になって半年くらいになるかな。
稲園高校のパン同様、幾年もチューニングされなかったパンを、一度にきっちりした音にする事もできず、
少しずつ少しずつ、音を整えてきた。
ファンタスティックスの方も理解してくださって、辛抱強く待ってくれた。

ファンタスティックスが演奏している。全体のバランスが聴きたいので、客席後部、ミキサー卓のすぐ横に移動する。
PA(音響)のバランスが少しずつ整えられていく。
あいにくPAさんのバランスは聞きやすい歌謡曲バランス。
メロディラインをくっきりと出す反面、中音域はカットされてしまった。
それでも出てくる音が去年聴いたファンタスティックスの音と違うのはわかる。
いい音になりました。

私の力だけではない。今年一年、ファンタスティックスはいいパンをいくつも購入した。特に中低音の楽器はトップクラスのパンを手に入れた。
いい楽器を調律するのはとても楽だ。
そしてプレイヤー達。作りの悪いパンを使ってきた彼らは、「いい音」をとても大事にしてくれる。


Curepeから出るパンはすべて私の師匠、Leroy Thomas氏の作った物なので、私も調律しやすいのだけれど、他の人が作った物、他の人が調律し直した物は、私の音に直していい物か常に悩んでしまう。
稲園しかり、ファンタスティックスしかり。

リーダーは話し合う時間をちゃんと取ってくれる。
おかげで時間をかけて、彼らの思う音、私の思う音を調節しながら音を作っていける。

バンドリーダー、アレンジャー、チューナーの三人はきっちり理解し合っていないと、音がばらばらになる。

ハードな演奏をしても音程がずれずにしっかりと鳴るパンを目指すのか。
柔らかい音を重点をおいて、ソフトに叩いても倍音がきらきらとなるパンを作るのか。

複数のチューナーが作ったパンを一つの音にするのは無理だ。
だがそれぞれのパンをチューナー、プレイヤーが理解して、一つの方向にまとめていく事はできる。
その音を生かした曲を提供するのがアレンジャー。
そしてその方向を指し示すのがリーダー。
そういうトリニダードのバンドの様なバランスが取れているバンドが、
早く日本にも出てきてもらいたいと思う。

このバンドのチューニングはスタートラインに到達しました。
さぁ、どこへ行きましょうか。


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