一橋的雑記所

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2005年01月13日(木)

酔っ払いの戯言です。


大丈夫ですか。

静かな声が間近に聞こえて。
見開いた目の前に、柔らかに波打つ色素の薄い髪があって。
少しの間、何も言えず、何も聞こえない瞬間が訪れた。

……大丈夫。

軽く頭を一つ振って。
口元を軽く歪める。
視線は、足元に落としたままで。
今は、彼女の真っ直ぐな視線を。
まともに受け止める自信はこの胸の何処にも見当たらなかったから。

紅茶、入れなおしますね。

静かな声と共に、目の前のカップが取り下げられる。
勿体無いな、と思うのと同時に、有難い気分にもなる。
昼下がり、思いのほか暖かな西日に晒されている内に。
ついうっかりと転寝をしてしまっていた。
胸の奥の収まらない動悸は、さっきまで見ていた夢の名残り。
けれどもどんな夢を見ていたのかはどうやっても思い出せない。

覚えているのは、深い喪失感。
身を切る冷たい風。

どうぞ。

いつもと変わらない、起伏に乏しい声音が心地よく耳朶を打つ。
目の前に差し出される、一揃いのティーカップ。
鮮やかな色の、香りの高い温かな飲物を湛えたそれに。
知らず目を細める。

何に、絶望していたのだろう。

夢の残滓を辿りながら、手指が意識するより前にカップを持ち上げる。
求めることの空しさにはもう、慣れている筈だった。
青臭い自身の感傷を嘲笑うことなく受け止める事も今になって出来るようにもなった。
それでいて、何かしらの焦燥が胸の中を炙り続けている。
思い出せない夢の中の情景が。
その事を、いやに明白に証明していたような気もする。

お姉さま……?

訝しげに、というよりも。
気遣わしげに、彼女が言葉を漏らす。

大丈夫。

殊更、軽く答えて、鮮烈な真紅の飲物をゆっくりと口に含む。

そのとき。
一気に夢の欠片が胸の奥に押し寄せて。
カップに口をつけたまま、硬直する。
とっさに殆ど無意識に、この目は。
自分を姉と呼ぶ彼女の姿を追い掛けていた。







以下次号(え?)。
すみません、酔っ払ってますから今日のところはこの辺でご勘弁を(平伏)。


一橋@胡乱。 |一言物申す!(メールフォーム)

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