昨日彼とケンカした。 まぁちょっと泣いちゃったけど、死ぬほど辛いわけじゃ、ない。
でも、愛してると言っても、気持ちが受け入れられなかったら それほど淋しいことは無いと私は思う。
彼はちょっとした人間不信だ。それは知ってて付き合った。 一緒に居ても私を信用し切れなくて、不安になったり臆病で、 怖い夢を見て悩んでいるのも知ってた。
だから、余計に、普段から゛好きだし、愛している"と言ってきたし、 人前でも一緒に居る時とあまり態度を変えないように してきたつもりだ。だけど些細な事で、…彼の中の「特別」を 崩すような事を私が言ったせいで、彼とケンカになった。
ケンカなんて呼べるもんでもないかもしれない。 ただ、私が一方的に彼からの信用を失っただけだから。 ほんの些細な言葉だったのに、彼は過敏に反応した。普段から どれだけ好きだと言ってても、言葉の定義など、心と気持ちと、 胸のうちを解ってもらえなければ、そう、虚しいだけ。言葉は意味 を失って、決して相手に届かない。頑なに手を捕まえて、無理にぎゅっと 抱きしめても、拒否されてしまえばそれで終わりだ。
誰かと解り合いたいと思った時、一番の障害は、相手の中に、解って あげようという気持ちがあるかどうか、だ。…それが無いのに、 解ってもらおうとして、言葉をどれだけ投げかけたって、確かに 相手に届かない。…もしも言葉が届いても、それが心に伝わる事は まず無いから、私は、それだけで、震えてしまった。
どうしたらちゃんと好きだと解って貰えるのだろうって、 考え込んだ。こういう時の彼の目は、止まりそうに冷たくて、 人を信用しない人の目に、なる。それを治してあげたくて、辛くて、 そう悩んでいるのは、私。
彼は、言った。「愛してるって、じゃあ、何?…君は、ちょっと 自分が好きになれそうな人がいて、その人が自分に優しくしてくれて、 それが自分に都合がいいから、そういう人と付き合っているんじゃない の?そういう人の事を、愛してるって言ってるだけじゃないの?」
言葉に詰まった。愛の定義なんて、確かにあって無いようなもの。 それを確かめる術は無いから、困る。
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