…恋愛の感情が無くなってから、相手を見ると、その人が全くの別人に見える。ほんのこの間まで、僕の隣りで笑ってたのは、一体誰だったんだろう。恋をし始めた頃は、その髪に触れるだけでも、掌に優しさがこぼれた。君と恋をする前までは、ひとりで、陰を踏むだけでも、その近い距離に、幸せを噛み締めたものだったのに。君は、誰。そんな事を僕は言い出していて、でもそれ以上に、そんな君を好きだった僕が、果たして本当に僕だったのか。今はもう、分ろうともしない。