想
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2003年06月30日(月) |
横浜雑貨、という名の雑貨屋 |
ずっと前から気になっていたけれど、一度も入ったことのなかった店。
警戒心が薄い人間なので、
「ちょっと気になる」ものがあればだいたい手をつけていたのだが、
長年暮らす土地に在りながら、一度も入ったことのない店があった。
友人の誕生日プレゼントを買うために行ってみたら、
予想通りだったことと、予想が外れたことがあった。
予想通りだったこと。
店内の、驚くほどの狭さ。
(何しろ、本当にものが多いのだ。ただでさえ狭いのに。)
猫のにおい。
(いつも硝子越しに外から見えている猫。今日はいなかった。)
マニアックなものの数々。
(高いものは相当高いんだろう。アメリカンから日本までいろいろ。)
予想が外れたこと。
店主がめっちゃフレンドリー。
(そういう店なので、気難しい人がいるかと思ってた。)
普通のものも売っていたこと。
(友人へのプレゼントは、結局マトモなものにした。)
こんな内容で、店の雰囲気が多少なりとも伝わればよいが。
なんというか、思ったよりも好みのものがある店だった。
また行ってみようと思う。
ちなみに所在地は、名前に反して、横浜とは全く関係ない。
******
ワレ オモフ、ユヱニ ワレアリ。
と言ったフランス人が、昔いたとかいなかったとか。
哲学的に妥当かどうか、反証可能かどうかは知らないが、
なんだか、
ずいぶん自己中心的。
などと、くだらないことを想ったり想わなかったり。
******
今日は、1日、基本的に家でごろごろして過ごした。
妙に頭が働かなかった。
郵便局で、105円の振込みに70円の手数料を取られる不条理。
ATMなら60円。でも、家の近くの郵便局では、人間を介するしかない。
友人からわざわざメールをもらう。
律儀者め。(悪い意味ではなく。)
一生懸命選んだ、まだ新しい眼鏡のフレームが壊れた。
というか壊した。
昨日の惨敗に追い討ちをかける。
グリーン・マイルが面白い。
明日、おそらく4巻を買うだろう。
先日お世話になった方に、昨日の報告。
どうなることやら。
雑貨屋発掘。
まだまだいいものが出てきそうな予感。
結局、
めげずに頑張れば何とかなるぞ、自分。
がんばれがんばれ。
(0:15)
全力投球。
別に球は投げないけど、
会話はキャッチボールだってよく言うし。
頑張ってきます。
******
帰宅。
がんばってきました。
撃沈。
多分無理。
バービーなんて人形だと思ってた。
建物がきれいだった。冷暖房完備。
胃が痛い。
2003年06月28日(土) |
スティーヴン・キング |
昨日、例の実験の被験者に行く時に、
駅の本屋で「グリーン・マイル」の1巻と2巻を買った。
今回の被験者は、
椅子に座って本を読んで、
ちょっと暑さ・寒さを我慢すればお金がもらえるという
なんともありがたい小遣い稼ぎなのである。
全8回だけど。
で、「グリーン・マイル」。
映画は見損ねたがスティーヴン・キングは好きなので
という理由のほかに、
新潮文庫のキャンペーンに乗らされて
というのも大きな理由。
アメリカで出版されたのと同じ、6巻分冊の形で出されている。
けれど、もう全部の巻がとっくに出版されているので、
次の巻が出版されるひと月後を心待ちにする、という醍醐味はない。
わざわざひと月待つのも悪くないと思ったが、
やはり続きが気になるのと、
1冊が薄いので実験中にも読み終えてしまうのではという考えから、
昨日、初めの2冊を買ってしまった。
面白い。
キングの純ホラー作品を読んでいる時には、
一息ついて目を閉じたら恐怖映像が残像のように頭の中に現れる、
そんな怖さがあるような気がするが、
「グリーン・マイル」はそういうタイプのホラーではない。
少なくとも、今はまだ。
だが既に、何かただならぬものが隠されているという緊張感と、
じわじわと迫ってくる欠片のようなものがあるので、
これからの展開が楽しみ。
******
髪の毛の一本一本が記憶を蓄えておくところだったら。
2003年06月27日(金) |
被験者/MDウォークマン |
今週の初めから、心理実験の被験者をしている。
局部的に暑かったりする。
あと、額にテープを貼られたりする。
結構、ストレスは溜まるかも。
明日が3回目。
明日はどこが暑いのかなぁ。
******
電車生活に欠かせないのがMDウォークマン。
昨日CDを借りて、初めて、
「世界にひとつだけの花」を実際に聴いた。
遅すぎる。
あとは、森山直太朗の「さくら(独唱)」。
季節外れもいい加減にしろという噂も。
電車の中では自然とウォークマンのヴォリュームを上げてしまい、
電車が駅に入る頃に、自分が聴いていた音の大きさに驚いたりする。
今日も、何かの曲の途中で、
鼓膜が太鼓の革になった感覚を味わった。
直接、バチで叩かれているような感じ。
あ、「鼓膜」ってそういうこと?
鼓膜が太鼓に張られてる革なら、
頭の中は空洞だなぁ、と思ってみたり。
2003年06月25日(水) |
やってられん/呼びかけ |
時計を見たら朝の4時って、どういうことかな?
******
えーと、
5500ヒット、
どなたですかー。
そこにいるのなら、今すぐ
手を挙げて大きな声で返事をして欲しいのですが、
それではどうにも届かないので、ご一報ください。
次のタイミングは5555ですか。
先に言っておきます。
何か出るかもしれませんから、
お踏みになった方は、何かでご一報ください。
みなさま、くれぐれもお元気で。
夜更かしは体に良くありません。
徹夜と夜更かしは違う、とか、駄々をこねないでください。
朝日が見たいんだ、とかも、あまり良くありません。
遅くまで起きていても仕方ないのは、
仕事が終わらないときだけです。
2003年06月24日(火) |
数日前のうた/思考錯語試行錯誤 |
街角で君と遇うこと想像し この夏の夜も胸高鳴らす
***
だって、本当にドキドキしたのだ。
******
学び。
いまのところ、まだ、考えてます。
「この麦畑とその田んぼを交換しませんか。」と言われたら。
田んぼと畑の大きさは、同じくらいのようです。
どちらも、自分の家からそう遠くないところにあります。
景観としては似たり寄ったりです、季節の違いくらいで。
たぶん、農業用機械も一緒に交換することになるでしょう。
手始めに、こんな感じで。
2003年06月23日(月) |
ウチの母/今日の学び。 |
ウチの母は変な母。
ある日、母が、
自転車に乗りながら「森のクマさん」を歌っていたら、
(この時点でもうある意味ネタなのだが、)
向こうから‘クマさん然とした人’がやってきた。らしい。
母は、
「もしあの人が(自分がクマに似ていることを)気にしていて、
私の歌に気づいて怒り出したらどうしようかしら」
と思ったらしい。
そこで母は、「あなたには関係ないのよ」という風を
(本当に関係ないのに)わざわざ装って、すれ違った。らしい。
つくづく変な夫婦である。
・・・各方面からのツッコミも考慮して、
「つくづく変な一家である。」にしておこう。
******
今日の学び。
しばらく、一緒に考えていきましょう。
「この麦畑とその田んぼを交換しませんか。」
と言われたら、あなたはどれくらい考えますか。
実は、いろいろと考えるべきことがあるのです。
損得勘定だけでも。
もちろん、人によっては、
考える間もなく交換することも可能ですが。
それでは話が終わってしまうので。
僕はちょっと考えてみたいと思います。飽きるまで。
今年41歳になる叔父の結婚が決まったらしい。
相手は、一回り年下の寅年の女性らしい。
41歳と29歳。
叔父は、一生結婚しないつもりかと思っていた。なんとなく。
まだ相手の女性と会ったわけでもないけれど、
どうぞお幸せに。
******
ウチの父は変な父。
本当は釣りに行こうと思っていたが
囲碁トーナメントをテレビで見始めたら
対局の行方が気になってなかなか出かけられない父。
やっと勝負がついた。(勝ったのは中小野田九段。すごい名字だ。)
父「ちょっとドライブにでも行ってくるか」
・・・ウチには車がない。
僕「自転車で?」
父「そうだよ(当たり前だと言わんばかりに)」
僕「そういうのサイクリングって言うんだよ(笑)」
父「ドライビング ウィズ マイ チャリ だよ(笑)」
(笑)
基本はバナナミルク。
プラス、
きな粉適量
すりゴマ適量
お好みで蜂蜜少々
ミキサーでよく混ぜるべし。
いかにもダイエット系だが、馬鹿にできない美味さ。
もちろん、牛乳の代わりにお好みで豆乳を。
きな粉の香ばしさと、ゴマのまろやかさ、
これがバナナミルクの美味さを倍増します。
もう病み付きです。
バナナと牛乳がある限り、続けます。
2003年06月19日(木) |
質問されたので答えた。 |
「質問」
ある朝目覚めると、あなたは今までの記憶を全てなくしていました。
あなたは何をしますか?
「答え」
なんじゃそりゃ。
とりあえず、ちょっと落ち着いてから考えるよね、
で、それからの可能性はいくつかあって、
可能性1
まず、自分の置かれてる状況を確認する
(逃げたりしなくてよさそうかどうか)。
安全そうなら、身元を証明できそうなものを探す。
自分が誰かわかったら、より詳しい情報を得るために、
わからなかったら、自分が誰か知るために、
他人をつかまえる。
あとは、他人次第。
要は、自分が何者か知るために必死になる。
可能性2
夢だと思って寝直す。
あとは、起きたときの気分次第。
可能性3
大学附属の総合病院に行って、医者に相談。
あとは、医者次第。
可能性4
自分のいいように自分の性格を創り上げて、
好きなように振舞う。
15:00
これから、「偉い人」に会ってくる。
ドッキドキ。
******
20:00
ただいま。
会ってきたのは、父親の友人。
「怖そうに見えるかもしれないけど、」
と父が言っていたから、強面の大男を想像して行ったら、
怖いどころか紳士っぽいとすら言える顔立ちで、
額の辺りに知性を漂わせた優しい人だった。
自分が知らなかったことも、
本当にたくさん教えていただいた。
何から何まで、という感じ。
奥さんは若くて美人だった。(再婚らしいけど。)
それから、彼は、昇進も早くて、英語もペラペラで、
そのまま職に就いていれば月給が50〜60万だったのに、
知的生活(読書など)のために何年か前に退職して、
周囲からもったいないと言われながらも何千万円かをフイにした人。
すごい。
本当は、凄さを表すために、詳しい経歴をここに書き連ねたいけど、
それは多分まずいので控える。
それにしてもすごい。
羨ましい書斎のある羨ましい一戸建て。
ますます、やる気が出てきた。
街で見かけた魅力的なひと。
ファミレスで、仕事のできるウェイトレスがいて、
気持ちがいいなぁと後ろ姿を見送っていたら、
重ねてあった椅子に接触してよろけた姿がまた妙に好感を持たせた。
すごい美人というわけではないけれど、笑顔が素敵で。
若いというわけではないけれど、爽やかで。
こういう女性は、魅力的だと思った。
その後、他のファミレスに行ったら、
年の割に(?)落ち着いていて、かっこいいウェイターに遭遇。
今日はファミレスについている。と思ったが、
1日に2軒もファミレスに行っていることがそもそもおかしい。
2003年06月14日(土) |
茨城県キャッチフレーズの謎 |
最近は、都道府県のキャッチフレーズを目にすることが多い。
さて、
茨城県のキャッチフレーズは
「うまいもんどころ 茨城」、である。
「美味いものがたくさんあるよー」、
というだけだと思っていたが、
もしかして、
「このもんどころが目に入らぬかー」の
水戸の御老公の「紋所」とかけているつもりか!?
なんてことだ、
これでまた、名物水戸納豆に続いて、
茨城県には水戸しかないと思われてしまう。
2003年06月13日(金) |
火付けシリーズ・1 「タバコ」 |
もちろん僕にはわかっていた、今ここで火をつければどうなるか。
僕の目の前には、同僚の山本に差し出された1本のマイルドセブンがある。初めに僕の禁煙の邪魔をしたのも、この山本だった。4年前、ちょっと買いたいものがあって、毎日の500円から750円程度の大きな出費に気づいた僕は、8年間吸い続けたタバコをやめようと決心した。無意識に右手がポケットを探ることもなくなってきた頃、山本は僕の前に現れた。僕の禁煙生活は、山本の登場によって幕を迎えた。
山本はそのとき、僕が勤めている小さな印刷会社で働き始めたばかりだった。そこそこ大手の商社からの転職だったが、年が近かったせいか妙に話も合い、会社帰りには2人で飲みに行くようになったりした。飲み屋に通うようになってからしばらくして、転職の理由を聞いたことがある。山本は笑いながらこんなことを言った。
「元の職場はなんだか知らねぇけどタバコ嫌いが多くてさぁ、ほら、俺はこの通りだし、ウチの課は外回りも少ないトコだったから、なんてゆーの?居場所がないってゆーか。だから、さすがに悩んだけどさ、仕事にも大分飽きてきたし、思い切ってやめちゃった」
この通り、というのは、山本のタバコ好きのことである。こいつは本当にタバコが好きで、タバコの煙で生きているんじゃないかと思うほど、いつも辺りに煙を漂わせている。自己紹介のときにも、「好きなものはタバコです、こだわりの銘柄は特にありません」とか言っていたのを覚えている。僕は基本的にマイルドセブンしか吸っていなかったのだが、その自己紹介を聞いて、あまりいい気はしなかった。
山本がやってきた頃には、僕が煙から離れて3週間以上が経っていたが、その間なんとか無事に禁煙できたのも、周りにタバコを吸う人間がいなかったからだと僕は思っていた。駅のホームでも、喫煙所は意識的に避けて通るようにしていた。他人がタバコを吸っているのを見てしまうと、どうも落ち着かなくなるからだ。そんなところに、タバコがあれば生きていけると言わんばかりの男がやってきた。これはマズい・・・。
人前で堂々と「タバコが好き」というだけあって、山本は、本当に美味そうにタバコを吸う。仕事をしていても、駅にいても、実に自然にタバコとライターを取り出し、慣れた仕草で火をつけ、吸い始めには軽く目を閉じて深々と美味そうに吸う。初めて2人で飲み屋に行ったときもそうだった。山本はそのとき偶然マイルドセブンを持っていて、大きく煙を吐き出すと、隣に座っていた僕の方を向いて言った。
「何見とれてんですか。俺、そんなにイイ男?」
やめてくれよ、あんまり美味そうに吸うもんだから思わずね、と僕が答えると、よく言われます、と山本は答えた。
「田村サンは吸わないの? 田村サンだって吸う人でしょ」
確かにマイルドセブンを8年吸ってたけどね、これでももう3週間禁煙してるんだよと笑って告げると、山本は微妙な表情になった。
「無理にとは言わないけど、一本だけ、どう?」
禁煙してると断ったそばから勧めるなんてひどいな、と言って、僕はすぐに遠慮し、その場では山本ももう僕にタバコを勧めることはなく、ひととおり職場の話やバイトの女の子の話で盛り上がってから家に帰った。帰り道でも、タバコを吸いたいと思うことはなかった。すっかり禁煙生活が板についたな、などと自分でも感心しながらその日はあっという間に眠りについた。
ところがその次の日の朝、会社に向かう途中の道で、気がつくと僕は自動販売機の前でマイルドセブンを手にしていた。無意識に、小銭を出し、ボタンを押し、取り出し口からタバコを取り、そこで自分のしていることにようやく気づいた。いや、正確に言うと、無意識だったのはタバコを買うという行為についてではなく、自分が禁煙中であるということに対してだった。毎日タバコを吸っていたときのように、何の考えもなくマイルドセブンを買っていた。前の晩、自分自身に感心したことを思い出し、僕は一人で恥ずかしいような気持ちになった。買ってしまったタバコを手に、どうしようかと迷ったが捨てる気にもなれず、しかしここで吸ってはひと月近い禁煙生活が無駄になってしまう、と、そこまで考えて、自分がライターを持っていないことに思い当たった。同時に、昨夜の飲み屋での山本の顔が浮かんだ。そうだ、山本だ。タバコならあいつにやってしまえばいい。
会社に着くと、山本は僕の隣の席で、当たり前の顔をしてタバコを吸っていた。僕は早速、例のマイルドセブンを差し出して、気づいたら買っちゃってたんだ、よかったら代わりに吸ってやってくれないかな、と山本に言った。
「おっ、いいの? サンキュー! ちょうど切れるトコだったんだ。あ、でも、タダでもらうのも悪いから、コーヒーかなんかおごるよ」
そんなの気にしなくていいのに、と僕は言ったが、山本は社内の自販でコーヒーを買ってきて僕にくれた。その晩はまっすぐ家に帰り、缶ビールを飲んで寝た。
その次の日の朝、今度は駅の売店で、またもや僕はタバコを買ってしまった。あろうことか、そのまた次の日も、同じことが繰り返された。僕はタバコを手にするたびに会社で山本を探し、山本はいつもコーヒーを僕におごった。4回目に、とうとう山本が、今晩飲みに行かないかと僕を誘った。もちろん僕は断らなかった。
飲み屋に入ると、山本はホープの小さい箱を取り出して、火をつけた。紺色の箱に書かれたアルファベットを見て、希望、と僕はぼんやりと思った。
「どうしちゃったの、田村サン。なんか僕に言いたいことでもあるんじゃないの?」
毎朝、頼んだわけでもないのに同僚からタバコを渡されたら、いくらタバコが好きでも不審に思うだろう。そうして、タバコ好きの男がひとり、僕の目の前で本当に不審そうな顔をしている。申し訳ない気持ちで、僕は自分の状況を山本に説明した。別に何かあるわけじゃない、毎朝言うように、本当に無意識にタバコを買ってしまうんだ、迷惑だったらタバコを渡すのはやめる、悪かった、と。山本は煙を吐きながら、タバコを吸っているときにしては珍しく、困ったような微妙な顔をしていた。この間の顔だ、と僕は思った。僕が、禁煙していると言ったときの、あの顔だ。
「俺が口出すようなことじゃないけどさ、田村サン、やめた方がいいよ」
だから、タバコはもう1ヶ月以上やめてるよ、そう言い終わらないうちに山本が僕の言葉を遮って言った。
「違うんだよ、タバコじゃなくて、タバコをやめようとするのをやめた方がいいって言いたいんだ俺は」
山本の言うことを理解するのに時間はかからなかったが、なんだ、結局タバコを勧めてるだけじゃないか、僕はタバコをやめると決めたんだから、とちょっとむきになって言い返した。タバコなんて、体に悪くて、しかも金がかかって、いいことないじゃないか。
「それは確かにそうなんだ。俺だって知ってるよ。喫煙はあなたの健康を損なうおそれがあります、ってさ。でも、世の中には、タバコを吸うことが自然な人間もいるんだ。ちょうど俺みたいに、タバコを吸うために生まれてきたような人間もいるし、そうじゃなくても、自分のカラダにタバコが合うって知ってる人たちは、たくさんいる」
妙に熱っぽく山本は続ける。山本の人差し指と中指の間で、ホープが一筋の煙に変わっていく。
「タバコは悪いものだって周りから言われ続けてきて、自分がタバコを吸ってしまうことに嫌悪感を覚える人も、中には、いる。タバコを吸うことそれ自体じゃなくて、自分のしてる行為と周囲の求める行為が噛み合わないのが、そういう人にとって何よりのストレスになってるんだ。そういうケースでは、タバコをやめた方がその人にとってはラクかもしれない。やめられるもんならね。だけど、田村サン」
新しいホープに火をつけて、煙越しに山本が僕を見た。
「田村サンみたいな人は、タバコの味を知っちゃった以上、そう簡単にやめらんないよ。この前も言ったかもしれないけど、田村サンは『吸う人』だ。どうしてもやめなきゃならない理由もないのに、無理してやめようとしても、余計ストレスが溜まるだけだよ。そっちの方が、タバコよりよっぽどカラダに悪い」
山本の目があまりにも真剣だったので、僕はなんと言っていいのかわからなかった。少し考えて、僕は言った。そんなに無理してるつもりはないよ、確かにどうしてもってわけじゃないし、このまま行けばやめられる日も近いさ。
「本当にわかってないの?田村サン。ここのところ毎日、田村サンが僕にタバコを渡すことの意味が。無意識に買ってる、それはもう、カラダが必要としてるっていうサインなんだよ。この1ヶ月、田村サンは気づいてないふりをしてきたけど、本当は、田村サンには必要なんだ。タバコが」
僕はなんだか聞いていられなくなって、悪いけど帰るよ、と言って店を出た。きっと山本はあの苦いような微妙な顔をして、タバコを吸い続けてるんだろうと思いながら、足を速めた。
家について、布団に入ってみたものの、しばらく眠れなかった。閉じたカーテンの隙間から、月がちらりと見えた。
何度か寝返りを打って、ようやく決心して起き上がると、机の引き出しの奥からマイルドセブンとライターを取り出した。山本に出会う前、禁煙を始めて3日目に、気づいたら買ってしまっていたマイルドセブンだった。山本にこの何日か手渡していたのとはどこか違うもののように感じながら、封を切って、一本取り出した。口に咥える。100円ライターがいい音を立てる。火をつけて、そのまま深く息を吸い込む。体が、感激の小さな悲鳴を上げ、僕はその感覚を抑えるように、軽く目を閉じた。
実にひと月ぶりのタバコだというのに、何もかもが自然に感じられた。これまで、自分がこんなにも自然にタバコを吸っていたとは思ってもみなかった。1本のマイルドセブンが、まるで山本の仕草かと思われるほどぴったりと、僕の指の間に収まっていた。僕はその1本を吸い終わるまで、胸の中の笑い出したいような気持ちにほんの少し戸惑い、それと同じくらい、不思議な安堵感を感じていた。煙の向こうに、山本の真剣な瞳が見えた気がした。
次の日から、山本の隣の席で、僕は山本と同じくらい美味そうにタバコを吸った。
こうして、4年前の僕の禁煙の決意は、2万円ほどの節約の末に終わりを迎えた。もう2度とタバコをやめることもないだろうと、そのとき思った。
ところが、いま僕は2度目の禁煙に挑戦しようとしている。僕が一目惚れして、先月やっと付き合い始めた彼女が、昨日の別れ際、僕に言ったのだ。あたし、本当はあんまりタバコが好きじゃないの。
もし今このマイルドセブンに火をつければ、僕はもうタバコをやめることができないだろう。それは、今の僕にはもうわかりきっていることだ。タバコ嫌いの彼女はそんな僕を許してくれるだろうか、もしもタバコが原因で彼女に嫌われることがあったら僕はどうしたらいいのだろう、これはどうしてもやめなきゃいけない状況に入るだろうか、そんなことをぐるぐると考えながら、僕の右手はポケットのライターを握っている。
今日は、水泳。近くのプールで1時間30分、とにかく泳ぐ。今日行ったプールは、50分毎に無理矢理10分間、休憩させられる。本当は休憩のない方に行きたかったのだが、残念なことに今日は休みだった。しかも、問題は休み時間だけかと思っていたら、今日行ったプールは天井と壁がガラスでできているために、陽射しがもろに差し込んで、中途半端な背泳ぎのようなものをしていた僕は見事にゴーグル焼け。なんてこったい。
その後、昼食をとり、買い物へ。ちょっと高いものを買うのが目的で、近くの薬局という薬局は一通りまわった。こう書くと、いかに安い店を見つけるかということに必死だったように聞こえるかもしれないが、実は、とにかく歩きまわることが目的。なにしろ、体力増強月間なのだ。
******
ところで、プールの帰り道、昔よく傍を通り過ぎていた駄菓子屋に入ってみた。暑くてのどが渇いていたし、なんだか懐かしかったから。飲むもの(「おいしい味」の‘グレープドリンク’30円)と、おやつ(小さいラーメン(?)‘ヤッター!めん’10円)2個を買う。しめて53円。
あれ? 消費税がかかってるぞ?
子どもも大変だなぁ、などと思いつつ帰る。
買ったのは3つとも「当りつき」だけど、1個も当たらなかった。小学生くらいのときは、こういう、駄菓子のアタリとかハズレとかに一喜一憂していた気がする。たいていはハズれるんだけど今度こそ当るかも、とか、この前当ったからまた当るかも、とか、そんな期待に胸を膨らませて、
毎日が平和だった。
最近は、あの頃の平和な気持ちを、少し取り戻しかけている。
あの世とか、極楽浄土とか、
そういうものはある、と信じたい。
まずは基本から。
腕立て伏せがしたかったが、できなかったので、
軽く腕立て伏せの練習。何か間違っている。
仕方がないので、なんとなくストレッチ。
6時から、軽くJOG、1時間。地元地域を縦横無尽に走り回る。
UPもDOWNもなく、信号に止められながらべったりと走る。
音楽でもなければ挫折しそうな気がしたので、
SPEEDのベストアルバムの入ったMDをお供に。
テンポがあって、なかなか良い。
久しぶりに、走ることを目的として走った。
走るのなんて嫌いだと言う人も多いが、これはこれで気持ちのいいものだと思う。
しかし、日の沈まないうちから、ともすれば知人にばったり出会う街中を
Tシャツとジーンズで汗だくになって走るのは、ちょっと気が引ける。
いかにも「サッカー部員です」という雰囲気の少年が走っているならともかく。
・・・不審な人物だと思われていたら嫌だなぁ。
明日からは、日が沈んでから走ろうか、と思ってみたが、
どうやら夜から雨になるという予報。早くも先行き不安である。
笑顔を絶やさせない警視庁ホームページ。
『ピーポくんのうた』
メトロポリタンポリース♪
経緯(いきさつ)はこちら。
ちょっと、出身校の校歌の歌詞を髣髴とさせる。
パイオ〜ニア、パイオ〜ニア〜♪
(こうやって見ると家電の宣伝みたいだな・・・。)
運転中には、間違っても、難しい考え事をしちゃいけない。
もちろん、ボーっとしてもいけない。
2003年06月05日(木) |
火付けシリーズ(案) |
もちろん僕にはわかっていた、今ここで火をつければどうなるか。
持つべきものは、しっかり者の友。
おかげで、ぜんぜん気づいていなかった集まりに出ることができた。
******
バイク生活の不便な点を挙げるとすれば、
雨の日に外出しにくいことと、大きな荷物が運べないことだ。
予想外の雨。
仕方がないので、愛車は外に置き去りにしてきた。
せっかく先月半ばに車検に出して、
驚くほどキレイになって帰ってきたというのに。
濡れてしまったシートが、明日には乾いているといいなぁ。
虫歯が全部なくなった。
やっとだ。
もしかして、親知らず以外にも
また虫歯が見つかるんじゃないかと
内心びくびくしていたのだが、
杞憂に終わった。
午前中は、渋谷で友人と会い、至福のひとときを過ごした。
名残を惜しみつつ歯医者に行った、その甲斐があったというものだ。
今回は、治療のついでに上の歯を一通りクリーニング。
来週、下の歯をクリーニングして、一応、全工程が終了。
実に、長い道のりだった。
しばらくは、あの涙の出そうな音を耳にすることもないだろう。
2003年06月01日(日) |
頭ではわかっていてもねぇ。 |
面と向かって不細工だと言われると、
立たないものも立ってしまう。
あぁなんて腹の立つ。