詩のような 世界
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電車の窓から 流れる景色を眺める 懐かしい風が僕をさらっていく 穏やかな左胸の鼓動
どこからか聞こえる 金属バットがボールを捉える音 絶えず空に響き渡る かつて僕も土を駆けていた
忘れかけていた素直さや 良い意味での幼さを 不鮮明なものにしないように 僕はぎゅっとこぶしを握り締めた 痛いほどぎゅっと
汗まみれのあいつの笑顔 まだはっきり覚えてる セーラー服姿のあの子の応援歌 今も耳に残ってる 大切なものはいつまでたっても大切だから きっとずっと忘れない
電車が揺れる 澄んだ空気が眠気を誘い 木と水の粒子がきらきらと香る
寒くて 暑くて 凍えそうで 汗ばむ
従順に回らない 決められたサイクルを 呪うのはとても簡単
機能しないこの命を お与えになった神の意思を知りたい 胸の上で手を組む
うまく十字架をきれたら 僕を呼んでくださるの?
これで見納め そう言って君は八重歯を見せた
偶像だろうが何だろうが 君が鳥になって飛んでいったことは 否定できないような気がしてる
今ごろ君は遠いお空で ずるい笑顔を振り撒きながら 煙草の煙を吐き出してるはず
そんな君を思い舌打ちしながら 空を見上げ鳥を追いかけてる私って そこそこ馬鹿なのではないでしょうか
青緑の海 木々の光 可愛い貴方
それさえ揃っていれば 生きていけると確信していた 何があってもそれさえあれば 肝心な部分は失わずにいられる
強い思いはその強さゆえに 打ち砕かれれば弱いもので 空洞となった清い位置には 代わりに当てはまるものもない
3つのうち1つが不確実で 形のないやわなものだった
壊れやすいものほど愛しいなんて 解っていたはずだったのに?
真っ白な声
取り入れろ 取り入れろ
僅かな隙間をアイツは狙うから
上昇気流に乗れたらラッキー 瞬きした瞬間に追いてかれる 急げ 走れ 乾いても いずれ涙が潤してくれるから
アイツが呼んでる 耳を鉄の両手で塞がなきゃ 底を覗けば大きな牙が 僕を食いちぎろうと待っている
天の声 絶えず聞け 取り入れろ 取り入れろ 黒い唸りはどこまでも響くけど
風は竜巻となって僕を見捨てないから 僕が僕である限り
きっと幸運はこの手に
遠い場所で君と会ったよ
よかった 君はまだ生き続けている 僕の心の片隅に
現れてくれて有難う 君の笑顔は変わらないね 触れることはできなくても 変わらない笑顔を見れた それだけで…
過去は嘘じゃなかったと 教えてくれた 優しいね 僕の色を失った目に 君が気づくことはないけど
好きだったよ 嫌いにはなれなかったから やっぱり好きだったよ 本当は触れたかったんだ 君に
上手く笑おうとして口元が歪んだ
相手は思った通りの苦笑い
コントロール不能者たちは
別に助けを求めてなんかいない
妙な価値観を押し付けられやしないから
この巨大な動物園の中で
檻に入れられているのは誰か?
僕なのか君なのかあの子なのかアイツなのか
自分のいる場所が檻の中だと気づいていたら
きっとまだ大丈夫
ねぇ
何が欲しいか解らないの 自分のことなのに解らないなんて笑われるよね
解らないのなら何も要らないってことじゃないの?
でも満たされない 何を見ても 何を感じても 物足りなくて不安で息が苦しい
確実な平穏が欲しい そうなんだ 今が宙ぶらりんだからいけないんだ でもそれだけ? 違う…
男が欲しいわけでも 女が欲しいわけでも 決まった誰かにそばにいて欲しいわけでも ない
刺激が足りない? そうかも 人は平和ボケするから でも待ってよ さっき平穏が欲しいと言ったじゃない
ああそうか 平穏と平和は微妙に違っているんだ
幸せが約束された平穏と 死ぬほどじゃない刺激
解った この2つを求めていたのか
だからどうする?って話なんだけど、さ
君も去って 僕も去って 1つの季節が終わった
あっけないものだ
それでも理由を探していた 僕が飽きっぽかったのか 君がそっけなかったのか
考えること自体馬鹿げてる
今となっては君を思い出しても 胸が重くなったり 甘い余韻に浸ったり そんなことはなくなった
いい傾向だね 次に進むためには これでいいんだよね?
2002年04月08日(月) |
day by day |
赤い空き缶を蹴ったら
間抜けな音とともにそれは飛んでいった
灰色の空を見上げても
雨の降る気配は全くない
曖昧なことが嫌いなんだよ
曖昧なことに助けられてるけどね
歩いていると視力が徐々に低下して
道が凹んで見えるのはどういうことか
解りたくないような
落ちてみたいような
使わないかもしれない傘を持った人たちが
硬い表情ですれ違っていく
自己嫌悪に陥ってる最中だったりして
10メートル先にさっき飛ばした空き缶が転がっている
すぐそこには空き缶用ゴミ入れ
もちろん僕はそのまま通り過ぎた
不器用なものね
するりするりと問題をかわして
用意された幸せに辿り着けばいいのに
お互いを欲しているのに
なぜその手を離すのだろうか
誤解や嫉妬やすれ違いのなせる技か
不器用なものね
でもそれが人間という生き物
炎の中で戦い抜いたら
目の前には楽園が広がっているはず
頬に染みついた涙は
流れる熱風に乾かされるはず
焼け焦げてボロボロになった服は
勝利の勲章となって永遠に残るはず
僕は何もできないから
フローリングの床に座り込んで
狭い宙を眺めていた
身体は石のように重く動かなくて
空しい静寂だけが増すばかり
狭い宙は更にどんどん狭くなっていく
なぜ何も聞こえないのだろう
窓の外は昼間なのに真っ暗で
人々はどうやって歩いているのか解らなかった
手のひらが乾き始めて
耳たぶがじんじん痛み
ここに僕はいるのかと疑問に思う
外の闇が部屋の中に入り込んできた
天井は徐々に低くなってくる
僕はこのまま飲み込まれるだろう
誰にも知られることなく
誰の呼び声も耳に入ることなく
僕はこのまま宙に取り込まれるだろう
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