実際、肩関節周囲炎(肩峰下滑液包炎)と診断されるものの多くは、肩甲下筋や棘下筋などの回旋筋のトリガーポイントが原因の疼痛です。また、レントゲン写真の所見から下される変形性膝関節症という診断も、軟骨が磨り減っているために痛いという考え方は、私は違うと思います。そのほとんどは大腿四頭筋や殿筋などのトリガーポイントから起こっている関連痛です。
内臓疾患に間違われるものでは、例えば、狭心症の診断を受けニトロ製剤を処方されていたが、実は背部の多裂筋や斜角筋のトリガーポイントが原因であった患者を何人か知っています。例を挙げればキリがありませんが、もう一例挙げると、腰下肢痛の場合、MRI検査を行い椎間板ヘルニアの所見が見つかれば、それが痛みの原因とされ、神経根症とされてしまいます。しかし、実際には先天的に脊柱管が小さい人でなければ、ヘルニアを起こした椎間板が神経根に炎症を引き起こすことはありません。腰下肢痛の一般的な原因は、小殿筋や梨状筋などに生じたトリガーポイントに基づくものです。
このように現代医学は疾患の診断を画像検査や血液検査などの目に見える形で示された異常所見に基づいて行う傾向があり、実はそこに大きな落とし穴があるのです。
上の論文は、鍼灸師の堀口先生がトリガーポイントの特集が掲載されている。と資料を下さったものの中から、加茂先生が抜粋してくださったものです。
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