雨のち晴れの天気予報だった。いいな・・こういうの。曇ることがないなんて。 咲き始めた桜が美味しそうに雨を味わっている。そんな朝の風景だった。
雨合羽を準備して川仕事に行った。川沿いの道を軽トラックでゆっくりと走る。 いつものように脇見運転しながら。雨に煙る四万十も好きだなと思う。
河口付近で小鴨の群れに遭遇した。すごく可愛い・・みんなで一斉に川上へと泳いでいた。 灰色の川面にたくさんの命。流れに逆らって力強く漕ぐように進む。すいすいと気持ち良い眺め。
その時の私は“川漁師のおばさん”ちょっとダルダルで今日は休みたい気分だった。 また例の嫌な気分が襲って来て・・振り払ってもどんどんそれが負いかぶさって来て。 はぁ・・まただ。まったく・・どうしようもないやとか自己嫌悪しそうな時だった。
小鴨の逞しい姿に心を打たれる。見れば、ついこの前まで冬枯れていた木々にも新芽が。 雨が降れば傘を差すのがニンゲン。でも自然の命は天に逆らうことが出来ない。 たとえ嵐になっても木々は揺れながら時を待つ。あるがままを受け止めるのが自然。
はっとして心が軽くなる。ちっぽけな苦に惑わされてはいけないのだね・・。
胴長グツを履き雨合羽を羽織る。雨の粒が顔を濡らし始める。 よっしゃ!勇ましく水の中に突入。まるで小鴨のつもりの私だったりして。
海苔網に手を伸ばし丁寧に海苔を摘む。これは実は・・好きな作業だった。 好きなのに何を嫌がってたんだろうって思った。どんどん手が伸びて行く。
雨が水面をコロコロと転がる。これは見ていてとても楽しい。 雨粒は落ちてすぐには水に溶けない。ほんとうに真珠のように可愛く跳ねて転ぶ。 すると私の周り中真珠が転がっている。おお・・私って結構贅沢ではないかなんて思う。
ありがたいことだ。雨がこうして喜びを運んで来てくれるなんて。
二時間後川から上がった河童みたいな私。 重い海苔かごをトラックに積み込み、ちょっとふは〜っと大きく息をつく。 胴長グツを脱いでトラックに乗れば乱れた髪を気にしたり・・女である事を決して忘れないでいたい。
午後・・作業場で海苔を洗い・・後はずっと手作業の時間だったり。 ラジオを聴きながらジョージア飲みながら・・それはそれで有意義な時間。
やっと作業が終わりかけた頃、雨がぴたりとやんだ。 するとほんの5分もしないうちに薄陽が差し始める。 おお!天気予報やるじゃんって嬉しい気分になる。
どんどん太陽の匂いがして来る。思わず深呼吸したくなる春の匂い。 信じられないくらい青空が広がっていた。
雨のち晴れは・・・やっぱすごい嬉しいね。
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