仕事から帰って何気なく玄関のツバメの巣を見上げたら いつもちょこんと頭を出している子ツバメ達の姿が見えなかった。 おお・・ついに飛べるようになったんだとほのぼのと嬉しくなる。 同時に「おかえりなさい」って言ってるような鳴き声が聞こえなくて寂しいような。
でも日が暮れるまでには帰って来るだろうと思った。 だってここがあの子達の家だもん。昨夜も寄り添って寝ていたもん。
午後7時頃・・ほらほら帰って来た。ちいちいばたばたとすごいにぎやか。 初めて空を飛んだからきっと興奮しているのだろう。見ている私まで興奮してしまう。 4羽が先を争うように巣に足を掛けたかと思うと転がるように中にすっぽりと入る。 一番最後になった子ツバメはちょっと愉快。だってもう入る隙間がないのだもの。 「兄ちゃんちょっとどいてくれや」って言ってるみたい。 そしたら兄ちゃんが「やぁだよ!」ってわざとふんぞり返っているみたい。
「いいもんいいもん・・なら突っ込むからな」弟君が勢いよく巣に突入する。 そしてなんと兄ちゃんの頭を踏んづけてしまった。ちいちいイタイタと泣いて鳴いて。 そしたら姉ちゃんらしき子ツバメが「もうもう・・」って顔して羽根をきゅっと固く閉じた。 そうして出来るだけ奥のほうで小さくなろうとしている。さすが姉ちゃんだ。 でもその時姉ちゃんは末っ子を押しくらまんじゅうしちゃって末っ子の姿が見えなくなる。
「おいおい・・大丈夫か?」微笑ましいけどはらはらするような光景だった。 ちゃんと4羽の顔が見えるまで気になってしょうがない。 巣の中で騒がなければいいのに例の兄と弟が何やら喧嘩みたいなのを始めてしまった。 弟が先にちょっかいを出したような。くちばしで兄のくちばしを突っついている。 兄が「てめぇやる気か!」と口を大きく開けたその時、なんと弟はその口の中にまでくちばしを突っ込む。 そして何かを食べているような仕草。もしや・・兄の食べかすを・・きみは食べたのかい?
うんうん・・いつもは父さん母さんが餌を食べさせてくれるね。 今日は初めて自分で虫を捕まえたのかな?兄ちゃんはさすがにちょっと上手だったよね。 でもさ・・みんな最初から上手くなんかないんだよ。だから明日も頑張れるんだ。
そうしてやっと静かになる。ひとつふたつみっつ・・あっ・・やっとよっつ見えた。 ちょっとたれ目のあどけない瞳。頬に小さな白いえくぼ。みんなそっくりな顔をしている。
ここがきみ達の家だよ。また来年もきっと帰っておいでね。
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