朝の涼しさもつかの間。今日も暑いくらいの陽気となる。
ご近所の菜園にじゃが芋の花が咲いているのを見つける。 ほのかな薄紫のその花が私はとても好きだなと思う。
土手には姫女苑の花がとても可愛らしく咲き始めた。 枯れていく野あざみの花をそっといたわるように 優しく微笑みながら寄り添っている光景もまた好きだなと思う。
今日も一緒にお大師堂に行ったあんず。 私がお参りをしているあいだ軒下に繋いであったのだけれど 繋ぎ方がゆるかったのかいつの間にか外れてしまっていたようだ。
すると「ひいひい」と叫ぶような泣き声がどこからか聴こえてきた。 「あんちゃん、どこ?」呼んでも返事が出来るわけもなくて その泣き声を頼りにお大師堂の近辺をあっちこっちと探してみる。
やっと見つけた。それがなんと川沿いの崖の途中に引っかかっているではないか。 木や草が無かったら真っ逆さまに川に落ちてしまうところだった。
さてどうやって救出しよう。夫を呼ぼうかと思ったけれど ちょうど干潮で川の水が引いていたのが幸いだった。 河原に下りていって下から手を伸ばすが、もう少しのところで手が届かない。
木の枝を折ってなんとか道を作る。後はあんずの力に任せるしかない。 野ばらの棘が刺さってどんなにか痛かったことだろう。 それでもあんずは必死になって草を掻き分けてやっとの思いで河原に下りた。
はあはあぜえぜえ言っている。「よしよし、怖かったね」って 言ってあげればよかったけれど、つい「馬鹿ね、ほんとうに馬鹿なんだから」
そう言ってからちょっと後悔した。 もし満潮時だったら救出は困難だったろう。 何度かテレビで見た動物の救出作業の光景が目に浮かんできた。 もしかしたら川に落ちていたかもしれない。そう思うとぞっとする。 私の不注意で危険な目に合わせてしまったことに違いなかった。
「ごめんね、あんず」もうお大師堂へ連れて行くのは無理かな・・。 母さんはあれこれと考えていたけれど、当のあんずはケロッとした顔。
晩ご飯もいつも通りにガツガツと食べて元気いっぱいのあんずだった。
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